ミステリーの季節がやってきました。「ジャーロ」最新号発売!
文字数 1,442文字

眠いです……。
まだまだ残暑が続きそうですが、一方で夕方から夜にかけて吹く風には、秋の気配をくんくんと嗅ぎ取っていたりします。
ぼくたちは、この時期から急に眠気に襲われるようになるんです。
もともと寝るのは大好きですが、ほんと一日中眠い。
大嫌いな暑さと湿気の夏をなんとか乗り切れそうで、安心から夏の疲れが出るてくるのでしょうか。
この1年以上、夜の路地裏でやっていたぼくたち猫の「集会」も密になるということで、ずっと自粛。
そのぶんさらに家に籠もる日々が続いていたので、寝る時間には困らないのですが……。
先日もお気に入りのタオルをしっかり踏み踏みし、寝る態勢を整えてから、いざ今号のゲラを読み初めましたが(編集長、怠惰な読み方でごめんなさい!)……、いやいや眠気なんてどこへやら、夢中で読み進めてしまいました。
気がつけば深夜まで一気読み、そのまま勢いで夜中の近所の偵察にでてしまったぐらいです!
そうなんです、
ようやくミステリーに相応しい季節がやってきました。
9月24日発売の「ジャーロ」最新号も夏の疲れを癒やしてくれる面白い作品がてんこ盛りですよ!
まず、「ジャーロ」初登場の香納諒一氏の長編「刑事花房京子 逆転のアリバイ」。
独特の直観と観察眼で事件現場の矛盾を見つけ出す女性刑事・花房京子が、刑事コロンボばりに執拗に綻びをつき、犯人を追い詰めます。
そして青柳碧人氏の「クワトロ・フォルマッジ」。
タイトルはイタリア語で「4種のチーズ」という意味で、ピザのメニューでお馴染みです。
あのピザのように4つの人生が隣接し、ときに交じり合い、殺人事件に翻弄されていく人間模様を描きます。

まず、大石直紀氏の「京都文学ミステリー 東柱と東柱」は、不良少年の東柱と彼の名前の由来である太平洋戦争中の一時期、同志社に留学していた韓国の詩人・尹東柱の人生が、時を超えて結びつく物語。
ラストシーンが心にじんわり染みてきます。
もう1作は森川智喜氏の「幸せという小鳥たち、希望という鳴き声」。
洋菓子メーカーを起業し創立2周年パーティーを迎えた女性社長の用意したドレスがずたずたに!
犯人はいつ控え室に入ったのか? 残された手書きのカードは姉のものと思われるが……。
ハウダニットとホワイダニットの謎解きが切れ味鋭い一編です。

応募作がどう改稿され単行本となったのか、詳しく語ります。
今号は『ナイル殺人事件』の愉しみ方を千街氏が指南します。
