『ゾンビ3.0』サバイバルガイド/石川智健

文字数 2,416文字

昨今の気候変動に起因する災害増加により、皆さんの防災意識も高まっていると思います。

生き残るために、今までは考えもしなかった災害が襲ってくることを当然意識しなければなりません。

そこで、今回は今後起こりうるかもしれないゾンビの災害が発生した場合における適切な行動をゾンビオタクである城田竜二が「緊急編」「備え編」に分けて解説いたします。


「緊急編」は、準備をしていない段階でゾンビが発生してしまった場合に有効です。また、「備え編」はゾンビ発生前の事前準備に役立つかと思います。

ちなみに、ここだけの話ですが、城田竜二のモデルは『ゾンビ3.0』の担当編集者ですので、ほぼ実在すると思っていただいて構いません。

《城田監修・いまほんとうにゾンビが発生したらガイド》──備え編

城田竜二(しろた・りゅうじ)

予防感染研究所に隣接する大学の学生。日本でゾンビが発生した翌日に研究所に合流した。大のゾンビ・ファンで、その手の映画やゲームにとても詳しい。研究者たちが取り組むゾンビ化の原因究明に、彼の知識は一役買った。

事前に備えがあれば、上手くゾンビ禍を生き抜けると思います。ここでは、ゾンビが発生しても困らないような準備について話したいと思います。

【防御】

『ゾンビ3.0』の作中でミスター・バートンが着ていた「シャークスキン・ウエットスーツ」を用意しておけば、ゾンビに噛まれる危険度をグッと下げることができます。サメに噛まれても大丈夫なものですので、ゾンビでももちろん問題ありません。

ただし、全身に装着になるので機動力を奪われる欠点は避けられません。防御力と機動性を兼ねたいならアームカバーのほうがいいかもしれないですね。また、ケブラー素材のアームカバーは装着が簡単なうえに効果も大きいでしょう。それだけで不安な人には「腰下用」のケブラー素材もあります。

※ケブラー素材=高強度の繊維であり、同じ重さの鋼鉄と比べて5倍の強度を持つ。

【移動】

電気自動車の急激な拡大はゾンビ対策にも変化を与えると思います。もともと電気自動車には災害対策用の働きがあり、自宅を「スマートハウス」にしておけば電気自動車は巨大な蓄電池となります。東京都で義務化されましたが、太陽光パネルを備えることでゾンビ世界が少々続いてもエネルギー問題をある程度クリアできます。

ただ、車を移動手段として考えた場合は安全装備が充実したぶん、ゾンビにぶつけようとしてもダメージを軽減されてしまう恐れがあります。

僕も運転免許を持っており、ゾンビ対策の観点から頑丈な車を購入しようと調べたことがあります。堅牢性が高いと言われているボルボですが、最近ではどのメーカーも人を守るための頑丈さは確保しているようです。ただ、盲点だったのが、衝突被害軽減ブレーキなどが装備されているので、豪快にゾンビを轢くことができないと気付きました。こうなると、軽減ブレーキがない車(クラシックカーなど)が良いことになりますが、堅牢性が担保されません。頑丈な車は高級車が多いので、衝突被害軽減ブレーキは標準装備です。

改造できない場合、車は移動手段と割り切り、思い切りゾンビを轢くことは諦めたほうがいいでしょう。

【住居】

住居に関しては、平屋よりも2階建て以上が望ましいです。ゾンビは壁をよじ登ることができませんので、高い場所のほうが安全です(映画のワールドウォーZのケースは例外です)。

長期で立て籠もるなら、1階を放棄したうえで階段を破壊すれば防御力が圧倒的に高まります。窓からの侵入などを心配しなくていいですし、見晴らしが良ければゾンビの動きを監視でききます。集合住宅も同じことが言えますね。隣のマンション同士の高層階で連絡を取り助け合った韓国映画「#生きている」で、自分の家から出なければ危険が少なかった様子も記憶に新しいです。

以上、ゾンビが発生した場合の「緊急編」「備え編」を話してきました。

薄々感じてくださっているとは思いますが、ゾンビ対策をすることは、災害対策にも防犯対策にもなります。

単に災害対策を検討するよりも、ゾンビ対策だと思っていろいろと考えを巡らせるほうが面白いと思います。

皆さんも是非、ゾンビ対策の観点から身の回りのものを見直してみてください。そして、来るゾンビ襲来に備えていただければと思います。


【参考文献】ゾンビサバイバルガイド マックス・ブルックス著 (翻訳監修)森瀬繚他 (翻訳)卯月音由紀 エンターブレイン

【本文内写真】アフロ
著者・石川智健さん、週刊文春(2022年12月29日号)文春図書館「著者は語る」に登場!

石川智健(いしかわ・ともたけ)

1985年神奈川県生まれ。25歳のときに書いた『グレイメン』で2011年に国際的小説アワードの「ゴールデン・エレファント賞」第2回大賞を受賞。’12年に同作品が日米韓で刊行となり、26歳で作家デビューを果たす。『エウレカの確率 経済学捜査員 伏見真守』は、経済学を絡めた斬新な警察小説として人気を博した。また’18年に『60(ロクジユウ) 誤判対策室』がドラマ化され、『20(ニジユウ) 誤判対策室』はそれに続く作品。その他の著書に『小鳥冬馬の心像』『法廷外弁護士・相楽圭 はじまりはモヒートで』『ため息に溺れる』『キリングクラブ』『第三者隠蔽機関』『本と踊れば恋をする』『この色を閉じ込める』『断罪 悪は夏の底に』『いたずらにモテる刑事の捜査報告書』『私はたゆたい、私はしずむ』『闇の余白』など。現在は医療系企業に勤めながら、執筆活動に励む。

「呪いでもない。ウイルスでもない。ではなぜゾンビ化する? 

生命科学者なら誰もが知りながら誰も正面から書かなかったアイデアに感嘆した。
これは『パラサイト・イヴ2.0』でもある」
──瀬名秀明氏に絶賛され、さらにKゾンビが好調な韓国からのオファーによって日韓同時刊行を果たした、ゾンビファン注目の書下ろしホラー長編!

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