メフィスト賞2024年上期 印象に残った作品

文字数 960文字


座談会にはあと一歩届かなかったけれど、編集部員が読んで印象に残った作品を公開いたします。


『マレビト殺し』

N    文章のうまさが光ります。登場人物の何気ないワンシーンや、不穏な雰囲気の醸し出し方など、魅力的なパーツは揃っているものの、そのパーツをきれいに繫げられていない印象です。もったいないです。次作はストーリーラインにより注力した作品を期待しています!

 

『崖の上の殺人』

 小学生の頃に起こしてしまった事件がしこりとなって、大人になった今また動き始めるという展開と、登場人物同士の揺れ動く関係性を面白く読みました。ただ起こる事件にどこか既視感があり、謎としては弱く、ラストに驚けなかったのが残念です。

 

『真円の島』

 首筋にぴたりと装着された金属装置。美しい飾りのようで、本質は処刑器具なのである……。PO技術のアイディアが秀逸で、特にビジュアル面に惚れました。技術悪用の物語に終わらず、救済の側面なども掘り下げて、もっと読み手の心を揺さぶってほしかったです。

 

『輪廻は欺く』

 前作以上にアイディアがあり、面白く拝読いたしました。ただ、前作同様に世界が狭く、登場人物の行動に予想がつくため驚きが少ないのと、オチで主人公に慌ただしく解説をさせてしまっていたのが残念です。次回作はもっと予想もつかないラストが待っていることを期待しております。

 

『ミドルグリンの風車』

 エンタテインメント作品を書くぞという気概を感じる作品。スケールの大きい物語ですが、ページ数と作品内容が嚙み合っていません。また「〜て」「〜して」と繫いでいて、文章が単調になってしまうのが残念でした。

 

『インチキオカルトボーイズ』

 動画サイトとオカルトという組み合わせの作品。残念ながら物語に新味は感じられませんでしたが、主人公二人組が「いい奴」で魅力的でした。また文章も読みやすく、あっという間に読了しました。

 

『外道十三人』

 リーダビリティの高さ、テンポの良さ、アクションシーンの躍動感と実力のある書き手だと思います。「外道」ということで多くの登場人物が倫理規範を持たないため、物語の感情的な盛り上がりは少なく、共感できる人物がいないのが残念です。最後に残るのは誰かという部分だけでなく、一本通った物語の筋も欲しかったです。

 

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