第6回  コロナ禍が明け、ソウルの宿代が一気に2~3倍に!

文字数 995文字

 発刊された『日本ときどきアジア 古道歩き』(光文社知恵の森文庫)では、韓国の古道を歩いている。室町時代から江戸時代にかけ、日本にやってきた朝鮮通信使が歩いた道である。 

 韓国の古道歩き旅を前にして、その宿代で悩んだ。コロナ禍が明け、宿代が一気にあがったのだ。2倍……いや3倍? 大変な事態になっていた。とくにソウルの値あげ幅が大きい。


 昨年の1月、長く渡航が制限されていた韓国に向かったとき、変わった宿事情に直面した。いつも通り、ソウル駅に近い温泉マークを掲げた安宿に向かった。しかしその宿の前で呆然としてしまった。ドアにチェーンが巻かれ、閉鎖されてしまっていたのだ。ソウル駅周辺には、この種の安宿が何軒かあった。1泊3万ウォンほど。日本円で3千円ほどの宿である。ホテルの予約サイトにも登録されない宿だったが、予約なしで行ってもいつも部屋はあった。1軒が満室でも、その近くに別の安宿があったから、気をもむこともなかった。

 その1軒が閉鎖されていた。記憶を頼りに別の宿に出向いたが、そこも閉鎖されていた。そして3軒目の宿も……。

 コロナ禍の間になにが起きたのだろうか。仕方なく、ネットのホテルサイトを検索した。ソウル駅周辺で何軒かのゲストハウスがヒットしたが、どこも7千円ほどした。


 以来、ソウルのホテルで悩むことになる。安い料金を提示しているのは、ゲストハウスのドミトリーだけだった。ドミトリーというのは、部屋のなかにベッドが並ぶタイプの宿。ベッドひとつを使うスタイルになる。

 いろいろ調べていくと、ホステルと名前をつけた宿が何軒かあった。ホテルとゲストハウスの中間のような値段設定だった。そこには個室もあった。しかし7千円以上にはなる。

 安いホテル探しに疲れてしまった。ホテルサイトの検索を諦め、これまで飛行機に乗って貯めたマイルを使うことにした。無料航空券という特典を利用する目的だったが、それを切り崩すことにした。

 鳥嶺古道を歩いた後はソウルに泊まることになる。マイルで支払うことができる宿が明洞にみつかった。消費マイルも多くない。やはりホステルという名前がついていた。

 日本の安いビジネスホテルよりも狭い個室だったが、部屋にシャワーもついていた。

 鳥嶺古道を歩き終え、ソウルの宿に着いたのは夜だった。ベッドに横になり、ホテルサイトで料金を検索してみた。

 1泊1万6千円の宿だった。

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