【ネタバレ……したくなる】慶大生本読みのオススメ「オチの面白い小説」10選
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今、どんな作品を読んだらいいの?
そんな疑問にお答えするべく、大学生本読みたちが立ち上がった!
京都大学、慶應義塾大学、東京大学、早稲田大学の名門文芸サークルが、週替りで「今読むべき小説10選」を厳選してオススメします。
古今東西の定番から知られざる名作まで、きっと今読みたい本に出会えます。
慶應ペンクラブ(けいおうぺんくらぶ)/慶應義塾大学
慶應ペンクラブは、1957年に創立した慶應の中でも歴史ある文芸サークルです。現在は慶應義塾大学の教授であり芥川賞作家の荻野アンナ先生を顧問に迎え活動中。年に4回作品ジャンルを問わない部誌を発行し、それを文学フリマおよび三田祭で販売しています。
23秒の地球の悲鳴によって、人間の3分の1が絶命してしまった。突然の危機に白羽の矢が立ったのは、13歳の少年・空々空。真剣を持った少女・剣藤犬个から「ヒーローになってください」と懇願される。空々は四国に、世界に、宇宙にと東奔西走。愛すべきクズ・地濃鑿、冷徹な炎・氷上竝生といった仲間と共に人類を救う!
奇才・西尾維新が描いた破天荒な結末は⁉
図書委員の推理と友情の物語
堀川次郎、高校二年で図書委員。不人気な図書室で松倉詩門と当番を務めている。そんな図書室に持ち込まれる謎や身の回りで起きた事件の解明に挑む青春ミステリ。
相手の発言を深く聞き取る堀川と常に発言の裏を読む松倉の違いから、推理の展開も変わってきて面白い。さらに謎解きの要素もありながら高校生にしてはビターな雰囲気が漂い、二人の洒落た会話は読み手を飽きさせない。
一話完結の全6編で読みやすいうえに、伏線の鮮やかな回収は思わずネタバレしたくなること間違いなし!
「親指だけが、正面からほかの指を見ることができるんです」
詐欺を生業にする武沢とテツ。彼らはある日スリに失敗した少女を助ける。彼女が武沢の亡くなった娘に似ていたこと、生活が困窮していることを知り同居を提案する。少女の連れ2人と子猫も加わり、5人と1匹の奇妙な共同生活が始まる。ところが平和な暮らしもつかの間、武沢の忌まわしい過去が彼らに牙をむく。過去を精算し、新たな一歩を踏み出すための一世一代の大勝負は成功したかに見えたが……。
最後の最後に判明する事実に驚愕すること間違いなし。ぜひ道尾秀介の仕掛ける鮮やかなどんでん返しをくらってみてほしい。
推理小説における、1つの金字塔。
落ち目の推理作家である柳生照彦は、出版社に「犯人当てリレー小説」の企画を持ち込む。未解決の問題編に対し、まず他の作家に解決編を執筆してもらってから、柳生自身の解決編を載せるというものだ。ところがその小説は、現実にあった殺人事件を詳らかに描写したものだった……
安易な推理が幾度も覆された末に、驚愕の真相が明かされる! 格段に注意深く読んでいれば、いち早く真相に辿り着けるかもしれないが、作者の巧妙な罠にまんまとかかってしまうのも、また快い。一度は味わっておきたい読書体験がそこに。
アッと驚く短編集。様々な愛の秘密を一文で暴く!
愛することと信じることはなんだか似ているような気がして、だからこそ裏切られたときの衝撃は計り知れない。恋人、夫婦、親子、はたまた愛人まで、様々な愛を身近な文章で裏切りまくる、百田尚樹の技術が光る大傑作。私を信じてバッグに忍ばせてみてはどうだろうか。短時間で読みやすい短編集・全19編。
あなたはどんな仮面をかぶっていますか?
会社も家族も何もかもを失ったホームレス家具職人東口の物語である。彼は家具の修理をして日銭を稼ぎながらトラックの荷台で寝起きしていた。貧しいがのんびりとした生活を送っていたある日、謎の女・奈々恵が強引に弟子入りしてくる。そして仲間の謎の死、奇妙な仕事の依頼など、不穏な空気が流れ始める。
果たして依頼された仕事はやり遂げることができるのか、「疫病神」の驚くべき正体とは……?それぞれの登場人物が抱える過去の闇、本性を明らかにしながら、道尾秀介らしい伏線の張り巡らされたストーリーが展開されていく。
太ったチャップリン」による遊び心満載の6短編。どの文字も見逃せない!
大道芸人ヒッチハイカーが密室で殺された?「六つの玉」
プレゼントには爆弾が。かつての事件を振り返る。「五つのプレゼント」
マジック好きの大学教授の死。真相はネタばらし。「四枚のカード」
手紙と距離のトリック「三通の手紙」
表に美人画、裏に虎。解決のカギは……。「二枚舌の掛軸」
読み終わるまでに解くことはできるのか「一巻の終わり」
無駄なき文章を読み解けば、すべての謎がこの一冊に集約されていることが分かるだろう。
安楽死法案が可決された世界
舞台は2024年の日本。東京オリンピックが終わり、国家は破綻の一途を辿ろうとしていた。政府は国民皆保険制度を維持するため、膨らみ続ける社会保障費を削減しようと考えている。そこで極秘に進め始めたのが、安楽死特区構想だった。認知症を抱えた女流作家、不治の病を患う写真家、構想を主導してきた政治家が最初の安楽死特区の居住者となった。20分で絶命する薬を飲み干すが、ここで誰も予想していなかった出来事が起こる……。ベストセラー医師による安楽死制度に真正面から切り込んだ本格医療小説。
その恋はラベンダーの香り。
中学三年生の芳山和子は、放課後の誰もいない理科室でガラスの割れる音を耳にする。あたりにはラベンダーの香りが充満していた。その香りを嗅いだ和子は倒れてしまう。その後から彼女の周りに異変が起こり始め、しまいには同じ一日を繰り返していた。そのことを友人である深町一夫や浅倉吾朗に相談し、これらの出来事が「タイムリープ」であると判明。和子はことの真相を探るために四日前に戻り『正体不明の訪問者』と出会う。筒井康隆の代表作にして、様々な媒体でドラマ化・映画化・アニメ化されている時間小説のマスターピース。
ある時は甘く、ある時は苦い。このオチは何度だって味わえる。
強力な武器を積んだ宇宙船が地球のそばにやってきた。彼らは人類がずーっと争いをする位なら奴らを皆殺しにして、自分達が地球を征服した方がいいと考えている。その情報の真偽の確認も兼ねて、彼らは一日地球で争いが勃発していることを見た上で征服をすることにした。しかし、この日地球では争いがなかった。何故だろうか。
人に対する強烈な皮肉が効いた『危機』をはじめとする、ショートショートの名手・星新一が放つ短編集。