慶大生本読みのオススメ「ホラー入門に最高な小説」10選

文字数 3,761文字

今、どんな作品を読んだらいいの?

そんな疑問にお答えするべく、大学生本読みたちが立ち上がった!

京都大学、慶應義塾大学、東京大学、早稲田大学の名門文芸サークルが、週替りで「今読むべき小説10選」を厳選してオススメします。

古今東西の定番から知られざる名作まで、きっと今読みたい本に出会えます。

涼風の定義が木々の隙間を流れる青い風から、天井に設置されたエアコンから吐き出されるカビまみれの風に変わっても、怪談語りは未だに夏の風物詩として残っている。そんな昔からの伝統を楽しまない手はないだろう。そこでホラー入門に適した小説を10作選定した。「ホラー」というジャンルそのものが持つポテンシャルを楽しんで欲しい。

慶應ペンクラブ(けいおうぺんくらぶ)/慶應義塾大学

慶應ペンクラブは、1957 年に創立した歴史ある文芸サークルです。小説はもちろん、短歌や漢詩にラップまで、「言葉」を使ったあらゆる創作をしています。そして年に数回部誌を発行し、その掲載作品の批評会を行う他、不定期にワークショップ等を開催して書くだけではない創作を楽しんでいます。これらの活動を通してメンバー同士、和気あいあいとそれぞれの才を切磋琢磨しています。慶應ペンクラブは、1957 年に創立した歴史ある文芸サークルです。小説 はもちろん、短歌や漢詩にラップまで、「言葉」を使ったあらゆる創作をしています。そして 年に数回部誌を発行し、その掲載作品の批評会を行う他、不定期にワークショップ等を開催して書くだけではない創作を楽しんでいます。これらの活動を通してメンバー同士、和気あいあいとそれぞれの才を切磋琢磨しています。 

①『人間椅子』江戸川乱歩

あなたが今座っているその椅子、大丈夫ですか?


女性作家佳子の元にある一通の手紙が届く。

それは「私」という人物からの手紙であった。

椅子専門の家具職人である私は容姿が醜い故に誰にも相手にされず未だに独身だった。

ある時、ホテルから頼まれて作った椅子の中に入り椅子の生地越しに外国人の女性の体に触れるという日々を過ごしていた。

やがて私は日本人の女性の体を触りたいと思うようになり……。

これを読めば、しばらくは椅子のクッションの形がいつもと違うだけで怯えるようになるだろう。

②『クトゥルフの呼び声』H.P.ラヴクラフト・著 『ラヴクラフト全集(2)』収録 
史上最大の恐怖


考古学者の大叔父の遺品に厳重な鍵のかかった箱を見つけた「ぼく」。

箱の中には薄肉彫りの奇妙な粘土板。

この粘土板の作者を名乗る男は、夢の中に現れた超古代の世界を描いたと説明する。

粘土板の謎を紐解くと共に浮上するクトゥルフ教の存在、連続怪死事件、不可解な海難事故、そして海中に潜む「名状しがたいもの」の存在……。

幽霊ともサイコパスとも異なる第三の恐怖、「コズミックホラー」の金字塔『クトゥルフの呼び声』。

ラヴクラフトが世界規模のオリンピックのお供に、宇宙規模の恐怖を届けてくれる。

③『ニンギョウがニンギョウ』西尾維新

。く除を淵深の新維尾西。語物な味気不で議思不


この物語のあらすじほど意味をなさないものはないだろう。

23人の妹うち17番目の妹が4回目の死を遂げてしまったから、映画を見なければならない。

右足が腐ったから、5番目の妹とともに山中の人体交換屋に行かなければならない。

5年ぶりに起きたら熊の少女の買い物に付き合わなければならない。

熊の少女を24番目の妹にするために、老女である1番目の妹に会いに行かなければならない。

はてはて、この物語は、この文章は、何を意味しているのだろうか。

④『きつねのはなし』森見登美彦

この恐怖を文字には起こせない。


表題作である『きつねのはなし』は、「あの人には何も渡してはいけません」と言う古道具屋の店主と奇妙な屋敷の主人をめぐる骨董のやりとりを介し、そこに隠された不可解な謎へと迫る物語。

『果実の中の龍』では千の国を旅した尊敬できる先輩が登場する。

彼が一心不乱に走らせるペンはいったい何を書き、そして求めているのか——。

木々のざわめき、路地の奥。

夏の宵闇が送る四編の短編集。

⑤『マテリアルゴースト』シリーズ 葵せきな

自殺志願者と記憶喪失幽霊による抱腹絶倒のラブコメディ⁉


自殺志願者の式見蛍は幸運にも?交通事故に遭う。

そして不幸にも?目が覚めると、霊が見えるように、さらに触れられるようになっていた。

駅で出会った活発な幽霊少女・レイと生活することになる。

学校では、《帰宅部》としてともに活動する真儀瑠紗鳥先輩に人身事故を起こす幽霊(中に居る)の都市伝説を聴く。

クラスメイトで仲のいい巫女の神無鈴音に止められるも、そこへ向かった蛍の企みは一体?

⑥『夜市』恒川光太郎

ファンタジックホラー


異世界が交差した不思議な空間、夜市。幼い頃に裕司は弟と夜市に迷い込む。

裕司は弟を引き換えに「野球の才能」を買った。

その後罪悪感に苛まれ続け、再び夜市に入り弟を人攫いから買い戻そうとする。

しかし人攫いは狡猾な取引を持ちかけ……。(「夜市」)

ふと迷い込んだ未舗装の道。それは、普通の人間は決して足を踏み入れてはいけない道だった。

得体の知れないモノたちが跋扈する世界を、果たして生き延びることはできるのか。(「風の古道」)

幻想的で恐ろしくもどこか物哀しい世界にあなたをお連れしよう。

⑦『Jの神話』乾くるみ

秘密の花園を襲う怪事件。探偵「黒猫」がJの謎を解き明かす。


ミッション系のお嬢様学校に入学した坂本優子は、寮で起こる不可解なできごとに疑問を抱きながら生活している。

かつて起こったある少女の自殺事件。

夜中にどこかへ行ってしまう同質の先輩。

友人・高橋椎奈に関するありえない噂。

そして全校生徒のカリスマであった生徒会長・朝倉麻里亜の死が学校の雰囲気を変えてしまう。

キーワードは「ジャック」?

一方、探偵の「黒猫」は麻里亜の父から依頼を受けてこの謎に立ち向かう。

第4回メフィスト賞受賞、新本格でイロモノ作家・乾くるみのデビュー作!

⑧『リング』鈴木光司

超常的で科学的な、呪い。かかったら一週間後に死ぬ。


映画版も有名なこの一作。

雑誌記者の浅川和行はある変死事件を追っていた。

現場を特定した彼は、そこで異様な内容のビデオテープを発見する。

映像の最後には「これを見たお前は7日目のこの時間に死ぬ」とあった。

不審に思った浅川は友人の哲学科講師である高山竜司に相談する。

高山はこれが悪戯ではないと考え謎を解こうと奔走する。

推理の結果、このビデオには山村貞子という女性の呪いが念写されていたことが判明。

だが、結局浅川は一週間経っても死なず、呪いを解くことに成功した。

かのように思えた。

「ホラー小説」という枠を越えようとした『リング』シリーズの第1作目。

これを読んだら続く『らせん』と『ループ』も読んでみて欲しい。


⑨『チヨ子』宮部みゆき

宮部みゆきによるダークファンタジー短編集


バイトで古ぼけたウサギの着ぐるみを着ることになった大学生の私は着ぐるみの頭を被ると鏡に映る自分の姿が昔大事にしていたウサギの人形「チヨ子」に、そして着ぐるみを通して見える人たちの姿もぬいぐるみやロボットなどおもちゃの姿に見えるようになった!

しかし、ある少年だけは・・・・・・。

その他に『雪娘』、『オモチャ』、『いしまくら』、『聖痕』の4編を収録。

どの物語にもぞっとする結末があなたを待っている。

⑩『自選恐怖小説集 心の旅路』阿刀田高

珠玉のホラー短編集


終戦直後の苦しい時代、一人の元兵隊が脂で石鹸を作って売っていた。

ある日、夫婦喧嘩のはずみで妻が頭をぶつけ死んでしまう。

妻はとても肥えていた。

そこで元兵隊がとった行動とは……。(「見えない窓」)

体が不自由になった男が指でダンスをする。

客は呆然と指の動きに見とれる。

指はだんだん狂ったように乱舞し始める。

得体のしれない恐怖を感じ声をかけるも、男は忽然と姿を消していた。(「踊る指」)

考えるほどに恐怖がつのってくる13篇。

筆者が自身の全作品の中から選りすぐったホラー短編を堪能してみてはいかがだろうか。

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