『オール・ノット』(柚木麻子)

文字数 1,548文字

いま話題のあの作品を、マンガでひとかじり!

ブックソムリエ猫のスピンと、飼い主シオリが話題の本をあーだこーだとご紹介します。

気になった作品があったら、ぜひ本をお手にとってくださいね。


今回ご紹介するのは、『オール・ノット』(柚木麻子)

狭間シオリ:アラサー会社員

スピン:ブックソムリエ猫

シオリ&スピンのアフタートーク!

私がもし四葉さんから宝石箱をもらったら、どうするだろう!

お金に困ってたら、真央と同じことをする?

私は、しない気がするけれどな……うーん、なってみないとわからない。

でもさ、メインの登場人物を含めて、困ってるときに手を差し伸べてくれた四葉さんに対して、みんなずいぶん恩知らずなことするなぁって思ったよ。

私が四葉さんだったら怒っちゃうかも!?

でも四葉さんは、一度つながった相手に対して怒らない。

無意識のノブレスオブリージュっていうか……

控えめなのに、揺るがない自分を持ってる。でも一方で脆くて傍からみたら心配。

生粋のお嬢様ゆえに、庶民とは別の世界が見えてるけど、現実世界が見えてないトコもあって、うまくいかなくて……

四葉と、四葉にかかわった女性たちの失敗や失望、そして再生の物語だったね。

タイトルの「オール・ノット」がいいよね。

女性同士の友情もそうだけど、切り離してもバラバラにはならない血族のつながりが「all knot」になぞられられるし、同じ発音の「all not」には、「すべてダメ」と「すべてダメとも限らない」どちらの意味もある。

私は最後は「つながりって、捨てたもんじゃないな」って思えたよ。

小説序盤の、「ランチのアッコちゃん」シリーズにも通じるライフハックが盛り込まれたワクワク感から、物語の後半は、四葉さんの謎が明らかになるとともに、舞台は作者からの警鐘が込められた未来予想図に変わっていく。

そうだね。冒頭の真央の就活がコロナ禍で、つい最近のこと。その先々の出来事まで描かれてるから……

なんか、小説の中の未来がすでに現実で始まってるようにも思えて、ぞくっとしたな。

読む人が光をあてる角度によって、形も輝き方も変わる小説だなと思ったよ。

それも宝石みたいだね。

今回紹介した本は……


『オール・ノット』

柚木麻子

講談社

1815円(1650円+消費税10%)

描いた人:藤沢チヒロ@uwabamic

「マンガでかじるこの一冊」バックナンバー

『スモールワールズ』(一穂ミチ)

『ほねがらみ』(芦花公園)

『オルタネート』(加藤シゲアキ)

『檸檬先生』(珠川こおり)

『ゴールデンタイムの消費期限』(斜線堂有紀)

『神の悪手』(芦沢央)

『リボルバー』(原田マハ)

『余命一年、男をかう』(吉川トリコ)

・『ブラザーズ・ブラジャー』(佐原ひかり)

・『とにもかくにもごはん』(小野寺史宜)

『花束は毒』(織守きょうや)

・『オーラの発表会』(綿矢りさ)

『パンダより恋が苦手な私たち』(瀬那和章)

『ガラスの海を渡る舟』(寺地はるな)

・『君の顔では泣けない』(君嶋彼方)

『ペッパーズ・ゴースト』(伊坂幸太郎)

『むき出し』(兼近大樹)

『新しい星』(彩瀬まる)

『ボタニカ』(朝井まかて)

『ブラックボックス』(砂川文次)

『六人の嘘つきな大学生』(浅倉秋成)

・『古本食堂』(原田ひ香)

『サーキット・スイッチャー』(安野貴博)

・『六法推理』(五十嵐律人)

・『八月の母』(早見和真)

『観覧車は謎を乗せて』(朝永理人)

『宙ごはん』(町田そのこ)

『おいしいごはんが食べられますように』(高瀬隼子)

『此の世の果ての殺人』(荒木あかね)

『君のクイズ』小川哲

『ジャクソンひとり』(安堂ホセ)

『キッチンが呼んでる!』(稲田俊輔)

『ゴリラ裁判の日』須藤古都離

『オール・ノット』(柚木麻子)

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