『おいしいごはんが食べられますように』(高瀬隼子)

文字数 1,522文字

いま話題のあの作品を、マンガでひとかじり!

ブックソムリエ猫のスピンと、飼い主シオリが話題の本をあーだこーだとご紹介します。

気になった作品があったら、ぜひ本をお手にとってくださいね。


今回ご紹介するのは、『おいしいごはんが食べられますように』(高瀬隼子)

狭間シオリ:アラサー会社員

スピン:ブックソムリエ猫

シオリ&スピンのアフタートーク!

ごちそうさま!
やあ、ジャンクフード美味い! カップ麺はやっぱり常備しとかないとだね。
たまにはいいんじゃない? 料理って手間も時間もかかるよね。
二谷みたいに、ごはんのあとに上書きするように食べるのはだめだけど。太るし。
わかってるよ~!
私は食べるの大好きだから、「食」を疎ましく思ってる二谷の気持ちは推しはかりにくいところがあるけど…「1時間かけて作った料理を15分くらいで食べてしまう虚しさ」は共感できたな。
シオリは食べ物小説よく読むでしょ? この作品はどうだった?
これはね~、「食」に対してとことん皮肉なスタンスだった。
「食事シーンをいかにおいしそうに描くか」って、作家さんが腐心しているところだと思うけれど、この小説では逆というか……二谷が、おいしいはずのショートケーキを食べるシーン……あんなにおいしくなさそうな食事の描写は初めて読んだかもしれない。
たしかに。「食べ物小説=癒し」っていうイメージでいると、ガツンと衝撃を食らうよね。
それでね、ちょっと怖かったんだよね…
どの辺が?
社会には積極的に参加していないのに、「丁寧な暮らし」だったり「ちゃんとした食」を二谷に示してくる芦川さん、たしかに読んでてイラっとするところがあって……いつの間にか「芦川さんが困ったり悲しくなるような展開」を望んじゃってる自分に気づいて……
なるほどね。
「あなたも芦川さんにいじわるしますか?」って、作者に試されている感じ?
そんな感じ。自分の中の「いじめっ子」を発見してしまったよ。
職場での人間関係や、家族観、ジェンダーについてとかも…
「不穏」で「ざわつく」、心が乱されるポイント…罠みないなものをあちこちに張ってあって、そこが作者の上手いところだよね。芥川賞受賞後の新作も楽しみだ。
そうだ、ざわつくポイントと言えば「猫」!
うん、「猫」!
あれで完全私、押尾さん派になっちゃった。
わかる~!
今回紹介した本は……


『おいしいごはんが食べられますように』

高瀬隼子

講談社

1540円(1400円+消費税10%

描いた人:藤沢チヒロ@uwabamic

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