2022年12月の新刊!

文字数 1,723文字

敏腕出張書店員・内田剛さん(人呼んで「アルパカ」さん)に、今月の文庫新刊が分かるリリカル・エッセイを書いていただきました! 月一更新です。お楽しみください!(tree編集部)

書き手:内田剛


アルパカにしてブックジャーナリスト。POPを描き続け、王の称号を得る。最近では動画にも出たりして好きな小説を布教しているらしい。


Twitter:@office_alpaka

今年も『密室を開ける手』で『地検のS Sの幕引き』。

『神様の思惑』に応えることが『最高の任務』だ!

 赤川次郎『いつもと違う日』に村木嵐『せきれいの詩』を聞けば園池公毅『植物の形には意味がある』ことに気がつく。瀬戸内寂聴/藤原新也『若き日に薔薇を摘め』と村田喜代子『人の樹』に誘われ太田紫織『後宮の毒華』はいずれ蒼山螢『後宮の炎王』となる。

北尾トロ/えのきどいちろう『愛しの山田うどん』は尾崎世界観/千早茜『犬も食わない』わけではないが、東海林さだお『わが青春の貧乏めし』だった行成薫『できたてごはんを君に。』食べてもらいたい。森晶磨『チーズ屋マージュのとろける推理』の結末はサンドラ・ブラウン『湖は知っている』。竹田津実『獣医師、アフリカの水を飲む』から太田和彦『飲むぞ今夜も東京で』。


 赤川次郎『過去から来た女』は中山一朗『なまなりさん』になって赤川次郎『逃げこんだ花嫁』は芹沢政信『天狗と狐、父になる』。こうして青山七恵『私の家』はいつしか天童荒太『巡礼の家』に。なぜだかアミの会『ここだけのお金の使いかた』よりも群ようこ『おやじネコは縞模様』のような益田ミリ『小さいコトが気になります』。原田マハ『〈あの絵〉の前で』新津きよみ『なまえは語る』。ちょっと朦朧としてきたので日下部羊『オカシナ記念病院』に行ったらエラリイ・クイーン『靴に棲む老婆〈新訳版〉』が嵐山光三郎『年をとったら驚いた!』。近藤弥生子『台湾はおばあちゃんで回っている』とは世界はなんとも原田ひ香『DRY』だ。


 伊集院静『志賀越みち』を行けばそこは深沢潮『乳房のくにで』はなく天野純希『もののふの国』。秋山駿『信長』は上田秀人『本意に非ず』と連呼して谷津矢車『しょったれ半蔵』

は横山起也『編み物ざむらい』に降格。池波正太郎『まぼろしの城』にて吉森大祐『青二才で候』と呟くしかない。田丸雅智『おとぎカンパニー 日本昔ばなし編』からやり直しだ。

乙川優三郎『地先』であさのあつこ『風を結う』ごとく大地を眺めれば高山羽根子『首里の馬』に乗った数多久遠『航空自衛官、大地を駆ける』光景が見える。白石一文『見えないドアと鶴の空』から見下ろす藤野恵美『淀川八景』の中でも井戸川射子『ここはとても速い川』。朝倉宏景『空洞に響け歌』が心に染みわたる。


 角田光代/石田衣良ほか『こどものころにみた夢』を思い出せば、椎名誠『すばらしい暗闇世界』やマイクル・コナリー『ダーク・アワーズ(上下)』から浮かび上がった伊岡瞬『白い闇の獣』の姿がよみがえる。澤田瞳子『月人壮士』は夢枕獏『月に呼ばれて海より如来る〈新装版〉』。村田喜代子『尻尾のある星座』を見つつ北原一『ふたり、この夜と息をして』いればそこはすでに筒井康隆『モナドの領域』だ。


 木古おうみ『領怪神犯』は黒田研二『神様の思惑』で鯨統一郎『新しい神のルール』に従うこととなる。大石圭『名前のない殺人鬼』と横溝正史『幽霊鉄仮面』は望月諒子『呪い人形』を抱えてウィストン・グレアム『罪の壁』にぶつかり誉田哲也『妖の掟』を見せつけられる。


中山七里『騒がしい楽園』で乾ルカ『コイコワレ』られた乾くるみ『ハートフル・ラブ』は伊兼源太郎『地検のSSの幕引き』によってあえなく遠野遥『破局』。藤本ひとみ『密室を開ける手』で橋爪駿輝『スクロール』された五十嵐貴久『アンサーゲーム』は窪美澄『たおやかに輪をえがいて』高崎卓馬『オートリバース』する。お歳暮は道尾秀介『サーモン・キャッチャー the Novel』でクリスマスには佐藤青南『お電話かわりました名探偵です 復讐のジングル・ベル』の一報が。あとはチャールズ・ブコウスキー『郵便局』に行って年賀状を出すことが今年最後にして乗代雄介『最高の任務』だ!

登場人物紹介

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