2020年12月の新刊!
文字数 1,661文字

思いがけずに新章スタート!気分はすっかり『到達不能極』!
普通じゃなかった2020年を締めくくる文庫たちも熱すぎる!
「本の雑誌」にてお世話になった「アルパカ文庫堂」が約4年間にわたる連載をひっそりと終了。決して戦力外通告を受けたわけではなく円満に契約が終わったのであるが、椎名誠『ぼくの旅の総決算』もしておらず、このままではヰ坂暁『僕は天国に行けない』ということで「tree」に移籍。宇佐美まこと『聖者が街にやって来た』時期でクリスマス「tree」にギリギリ間に合った。紙からWebに変更となるも決して「神」に見放されてないと信じよう。夏川草介『新章 神様のカルテ』があるからきっと大丈夫だ。
さてロバート・キャンベル編『日本古典と感染症』や高橋敏『江戸のコレラ騒動』あたりが気になってしまう2020年。池井戸潤『新装増補版 花咲舞が黙ってない』ような斉藤詠一『到達不能極』的パワフル本が世を救う。王貞治『野球にときめいて 王貞治、半生を語る』と長嶋茂雄『野球は人生そのものだ』のO Nそろい踏み。これは岡本太郎『岡本太郎の眼』で大注目。波多野聖『ディープフィクサー 千利休』は影で控えているし林真理子『西郷どん!(前編・後編)』は堂々と聳え立つ。BGMはもちろん年末恒例の歓喜の歌。朝比奈隆・東条碩夫編『朝比奈隆ベートーヴェンの交響曲を語る』と樺山紘一『《英雄の世紀》 ベートーヴェンと近代の創成者たち』が高らかに鳴り響く。
岸田るり子『月のない夜に』カレル・チャペック『ロボット』が寺地はるな『架空の犬と嘘をつく猫』を使って多田将『すごい実験』をしているのを深谷忠記『目撃』してもそれはきっとフレドリック・ブラウン『真っ白な嘘【新訳版】』。小山田浩子『庭』で中村汐里『殻割る音』が聞こえたら内藤了『夢探偵フロイト 夢に棲む殺人鬼』の仕業かもしれない。川上弘美『森へ行きましょう』という突然のお誘いにはいとうせいこう『「国境なき医師団」を見に行く』と言って断ろう。それでも樋口有介『あなたの隣にいる孤独』と小池真理子『やさしい夜の殺意』にも要注意だ。不安を解消した後で中島らも『新装版 今夜、すべてのバーで』飲み明かそう。
佐藤愛子『九十歳。何がめでたい』か分からなくてももういくつ寝るとお正月。林真理子『愉楽にて』花房観音『うかれ女島』状態となったら宮津大蔵『ワイルドでいこう』。初夢に馳星周『蒼き山嶺』が出てきても受験生がいたら横尾忠則『言葉を離れる』のは危険だ。神永暁「さらに悩ましい国語辞典」を片手に清水義範『国語入試問題必勝法 新装版』にチャレンジ。間違っても浅倉秋成『失恋の準備をお願いします』と近寄って白井智之『少女を殺す100の方法』を聞いてはいけない。加賀乙彦『殉教者』がいても長岡弘樹『風間教場』から誘われても菊池寛『マスク スペイン風邪をめぐる小説集』だけは手放せない。
森達也『FAKEな日本』に暮らしていても人間の黒木渚『本性』と馳星周『神の涙』は騙せない。朝井まかて『悪玉伝』の悪さも泉ゆたか『縁切り屋』で浄化してみうらじゅん『世界全体会議』で奥田亜希子『青春のジョーカー』を出す前に椰月美智子『ぼくたちの答え』は決まっている。柏井壽『京都スタアホテル』に泊まって大石直紀『京都一乗寺 美しい書店のある街で』吉田篤弘『金曜日の本』を選ぼう。やっぱり緑川聖司『晴れた日は図書館へいこう 本のある風景』は最高だ!