2022年9月の新刊!

文字数 1,542文字

敏腕出張書店員・内田剛さん(人呼んで「アルパカ」さん)に、今月の文庫新刊が分かるリリカル・エッセイを書いていただきました! 月一更新です。お楽しみください!(tree編集部)

書き手:内田剛


アルパカにしてブックジャーナリスト。POPを描き続け、王の称号を得る。最近では動画にも出たりして好きな小説を布教しているらしい。


Twitter:@office_alpaka

『スイッチ 悪意の実験』押せば『わたしが消える』。

それが『悪魔を殺した男』のやり方だ!

東野幸治『この素晴らしき世界』で一色さゆり『ピカソになれない私たち』は麻宮ゆり子『世話を焼かない四人の女』とグループ結成。佐藤春夫『田園の憂鬱』を感じながら北村薫『ひとがた流し』で外岡秀俊『北帰行』。木下昌輝『金剛の塔』が聳えるような根本宗子『もっと超越した所へ。』行きたくなったら宮内悠介『遠い他国でひょんと死ぬるや』しれない。しかし藤本和子『イリノイ遠景近景』と古谷月奈月『無限の玄/風下の朱』を感じられたら黒川博行『桃源』に到着するのももうすぐだ。どこに着いても伊吹有喜『雲を紡ぐ』先には十市社『滑らかな虹(上下)』があり八重野統摩『ペンギンは空を見上げる』。


師走でもないのに今村翔吾『てらこや青義堂 師匠、走る』。笹本稜平『K2 復活のソロ』は成功したが浅田次郎『大名倒産(上下)』の一報が入ってこの世は相変わらず物騒だ。輪渡颯介『怪談飯屋古狸』に紹介された家は阿津川辰海『透明人間は密室に潜む』ような宇佐美まこと『超怖い物件』に間違いないからアンソニー・ホロヴィッツ『殺しへのライン』にまっしぐら。神永学『悪魔を殺した男』が潮谷験『スイッチ 悪意の実験』を押せば佐野広実『わたしが消える』。これは大山淳子『通夜女』に聞いた嶺里俊介『だいたい本当の奇妙な話』である。(本当は夏川草介『本を守ろうとする猫の話』を聞くはずだったのだが。)阿泉来堂『邪宗館の惨劇』は米澤穂信『Iの悲劇』。岩木一麻『がん消滅の罠 暗殺腫瘍の謎』があっても宮地尚子『傷を愛せるか』わからない。吉田修一『逃亡小説集』も捨て難いが素直に辻堂魁『山桜花 大岡裁き再吟味』に従うべきだ。川澄浩平『探偵は友人ではない』が横関大『誘拐屋のエチケット』だけは見習おう。


安倍龍太郎『迷宮の月』がひとつ輝く柴田哲孝『ミッドナイト』に下村敦史『同姓同名』の人が多すぎて伊藤朱里『名前も呼べない』。モヤモヤしたら喜多嶋隆『潮風メニュー』を注文してはらだみずき『サッカーデイズ』で気晴らしを。気分が乗れば鈴木三重吉『古事記物語』も桂竹千代『落語DE古事記』で大爆笑。市井点線『犬は食わねどチャーリーは笑う』。今日はダメでも乾ルカ『明日の僕に風が吹く』から万城目学『べらぼうくん』だった寺地はるな『わたしの良い子』はここで濱嘉之『駐在の息子』と出会えるだろう。


さて藤岡陽子『海とジイ』に加藤元『ほかに好きなひとができた』ようでそろそろお別れの時間。朱野帰子『会社を綴る人』に上野歩『あなたの職場に斬り込みます!』と小池真理子『追いつめられて』も横山雄二『アナウンサー辞めます』とは言わないで、積極的に眉村卓・日下三蔵『仕事ください』とアピールすべき。阿川佐和子ほか『こぽこぽ、珈琲 おいしい文藝』とミシェル・ウエルベック『セロトニン』で心を落ち着かせて宮脇俊三『終着駅へ行ってきます』。真藤順丈『絶滅のアンソロジー』と樹木希林『樹木希林120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ』を噛みしめながら、山本文緒『残されたつぶやき』に涙する。なんと美しい澤田瞳子『名残の花』か。村上龍『MISSING 失われているもの』など何もない。お別れの言葉は石黒由紀子『楽しかったね、ありがとう』。

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