2022年4月の新刊!

文字数 1,614文字

敏腕出張書店員・内田剛さん(人呼んで「アルパカ」さん)に、今月の文庫新刊が分かるリリカル・エッセイを書いていただきました! 月一更新です。お楽しみください!(tree編集部)

書き手:内田剛


アルパカにしてブックジャーナリスト。POPを描き続け、王の称号を得る。最近では動画にも出たりして好きな小説を布教しているらしい。


Twitter:@office_alpaka

『焦土の刑事』が『哲学人生問答』すれば、


きっと『歴史とは靴である』とわかるだろう!

さあいよいよ季節は春。桜の似合う林譲治『美しい街』は荻原浩『楽園の真下』。町田そのこ『うつくしが丘の不幸の家』があって不穏な空気が漂っている。そこは柴田勝家『スーサイドホーム』か五十嵐貴久『マーダーハウス』か、はたまたリサ・ガードナー『噤みの家』なのか。原田マハ『スイート・ホーム』ではないことは間違いなさそう。


大崎梢『ドアを開けたら』法月倫太郎『一の悲劇』。伴名練『なめらかな世界と、その敵』ばかりで赤川次郎『やり過ごした殺人 新装版』のあとに吉川英青『賤ヶ岳の鬼』ならぬ若竹七海『殺人鬼がもう一人』。これは二宮敦人『殺人鬼狩り』の出番だ。堂場瞬一『焦土の刑事』にも頼ろう。いざとなったら今野敏『機捜235』も控えている。


吉川英梨『海蝶 海を護るミューズ』と小島環『唐国の検屍乙女』が鈴木正崇『女人禁制』となれば、これはもう宇佐見りん『かか』と笑い飛ばすしかない。春風亭一之輔『いちのすけまくら』に広瀬和生『小三治の落語』、立川談志『談志受け咄』とお腹がよじれること真山仁『当確師』だ。こうなれば黒川博行『キャッツアイころがった』だけでも面白い。笑いすぎてライオネル・ホワイト『気狂いピエロ』にならないよう要注意。銀色夏生『つれづれノート』を片手にいとうせいこう・みうらじゅん『見仏記 道草篇』を楽しめる。きっと中山可穂『弱法師』に出会えるはずだ。余裕があれば森岡督行『800日間銀座一周』にもチャレンジしよう。


お腹がすいたら神楽坂淳『醤油と洋食』で最果タヒ『もぐ∞』タイム。小林カツ代『ハッと驚くお弁当づくり』をしながら与那原恵『わたぶんぶん わたしの「料理沖縄物語」』を聞く。泡盛でも飲みたくなったがなんと長月天音『ただいま、お酒は出せません!』とは残念無念。せめて東海林さだお『サクランボの丸かじり』をして上野歩『料理道具屋にようこそ』と誘われたいもの。


物価の上昇で気になる西尾維新『掟上今日子の家計簿』。吉田戦車『だって買っちゃった マンガ家の尽きない物欲』とはもう言えない。いよいよヤバくなったら中川越『すごい言い訳!二股疑惑をかけられた龍之介、税を誤魔化そうとした漱石』を考えておこう。西村京太郎『私を愛してください』と言っていた江國香織『彼女たちの場合は(上下)』キッパリと垣谷美雨『姑の遺品整理は、迷惑です』宣言。この勢いで武田綾乃『バブル』を小杉健治『奪還』するはずだ。

横溝正史『毒の矢』と今村翔吾『八本目の槍』に進藤玄洋『鬼哭の剣』を見つけて恩田陸『祝祭と予感』のムードが高まる。こんな時は養老孟司・隈研吾『日本人はどう死ぬべきか?』を考えて岸見一郎『哲学人生問答』をしてみる。窪美澄『いるいないみらい』はいったいどうなることやら。磯田道史『歴史とは靴である』と分かったが、外出は避けて成田名璃子『ベンチウオーマーズ』の方がよいかもしれない。


花房観音『ごりょうの森』でなみあと『占い師オリハシの嘘』や西澤保彦『フェティッシュ』に惑わされるも、羽田圭介『成功者K』の意見を聞いて柴田哲孝『奇蹟の馬 サイレンススズカ』と一緒に伊東潤『潮待ちの宿』で岩井三四二『天命』を待とう。いぬじゅん『君を見送る夏』にアレン・エスケンス『過ちの雨が止む』ならばきっと世界は保坂和志『ハレルヤ』。レイモンド・チャンドラー『長い別れ』の始まりだ。しかし山田正紀『ここから先は何もない』。


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