2022年2月の新刊!

文字数 1,719文字

敏腕出張書店員・内田剛さん(人呼んで「アルパカ」さん)に、今月の文庫新刊が分かるリリカル・エッセイを書いていただきました! 月一更新です。お楽しみください!(tree編集部)

書き手:内田剛


アルパカにしてブックジャーナリスト。POPを描き続け、王の称号を得る。最近では動画にも出たりして好きな小説を布教しているらしい。


Twitter:@office_alpaka

『太陽・惑星』に『流浪の月』と天空も大変だが、


『この道』行けば『人類最強のときめき』だ!

能町みね子『皆様、関係者の皆様』と横関大『仮面の君に告ぐ』。空を見上げると河邉徹『流星コーリング』に星座は増山実『甘夏とオリオン』。上田岳弘『太陽・惑星』あれば凪良ゆう『流浪の月』もあって六角光汰『太陽系時代の終わり』を感じさせないくらい大変だが、地上だって知念実希人『ムゲンのi(上下)』があるから負けてはいない。エドガー・アラン・ポー『黒猫』にフランツ・カフカ『変身』して、こたつで丸くなっている山根明弘『ねこはすごい』と思うが、都築道夫『猫の舌に釘を打て』という指令もあるから油断大敵。樋口昭雄『ドッグテールズ』も用意すればカイム・マクドナルド『平凡すぎて殺される』ことはないだろう。真冬の寒さをしのぐには、やはり西尾維新『人類最強のときめき』を感じる熱い本を読むしかない。お約束は水村美苗『日本語で読むということ』。久生十蘭『黒い手帳 探偵くらぶ』にメモしておいた読みたい本が見つからず悔しければ、島田雅彦『絶望キャラメル』を口に入れて道尾秀介『カエルの小指』を噛んでみよう。


窓の外は本城雅人『崩壊の森』で芦花公園『漆黒の慕情』と知りながら角田光代『大きな街に用がある』。勇気を出して外出すれば横溝正史『死神の矢』が飛び交い古井由吉『この道』が正しいのかもわからない。思いがけず遊園地のような倉数茂『名もなき王国』にたどり着いたが、横溝正史『貸しボート十三号』は貸出中でステージは伊東潤『虚けの舞』で新堂冬樹『ジキルの焦り』。西條奈加『隠居すごろく』と横関大『クローン・ゲーム〜いのちの人形〜』にチャレンジするも木犀あこ『ゴースト・テーマパークの奇跡』は起こらない。さくら真理子『気になる占い師、ぜんぶ占ってもらいました。』のあとは、せめて白石一文『プラスチックの祈り(上下)』でも捧げて村山由佳『まつらい』しておこう。


箕輪諒『千里の向こう』からのミサイル発射が脅威であるがこの国にも戦が絶えない。今村翔吾『イクサガミ 天』に矢野隆『戦百景 関ヶ原の戦い』。さらには伊東潤『家康謀殺』に秋尾秋『彼女は二度、殺される』と物騒だ。吉田修一『新装版 静かな爆弾』が仕掛けられ小杉健治『死者の威嚇』はあれども小林信彦『生還』あるのみ。この世を謳歌できるのは瀬戸内寂聴『命あれば』こそ。月村了衛『欺す衆生』やモーム『人間のしがらみ(上下)』もまた愛おしい。辻真先『夜明け前の殺人』やジョン・ディクンス・カー『連続自殺事件』をかいくぐり渡辺裕之『死の陰謀 オッドアイ』に惑わされなければ下村敦史『コープス・ハント』は回避できる。赤瀬川原平『自分の謎』と向き合って不穏な時代を生き延びよう。


畠中恵『かたわれどき』を過ぎてすっかり日も暮れた。小川糸『真夜中の栗』を手にして朱野帰子『くらやみガールズトーク』に憧れる。澤村伊智『ひとんち 澤村伊智短編集』の中にある市川憂人『神とさざなみの密室』にて真梨幸子『初恋さがし』をしてみたが、気分は葉真中顕『Blue』で佐藤亜紀『黄金列車』と熊谷達也『エスケープ・トレイン』を乗り継いで安壇美緒『金木犀とメテオラ』に行きたくなってきた。上畠菜緒『しゃもぬまの島』に着いたなら三田千恵『しあわせ、探して』角田光代『希望という名のアナログ日記』を書いてみよう。そろそろお開きの時間となってそろそろ大沢在昌『帰去来』。わたなべぽん『さらに、やめてみた。』けれども群ようこ『この先には、何がある?』だろうか。福田和代『梟の一族』に聞いてみよう。おっと、気がつけば新美健『六莫迦記 いつの間にやら夜明けぜよ』。泉ゆたか『朝の茶柱 眠り医者ぐっすり庵』でおやすみなさい。

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