編集長ジミーがオススメ、7月の光文社文庫!

文字数 1,145文字

 ついに始まりましたね、「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選 グランドフィナーレ」。こちらでもこれまで3回の傑作選について何度も書いてきましたが、本当に素晴らしい企画をありがとうございました。この間にベルモンドその人も亡くなり、そしてついにフィナーレへ。ジャッキー・チェンの映画の原点でもあり、ルパン三世やコブラのモデルにもなったという名作の数々は永遠の宝物です! 今回は新たに上映される3本に、アンコール上映も6本。何とかすべてを観たいと思っています。


 さて、光文社文庫7月のオススメ。まずは辻堂魁さんの『夜叉萬同心 浅き縁』から参りましょう。ドラマ化された「風の市兵衛シリーズ」の辻堂さんの、光文社文庫での人気シリーズです。「夜叉萬」と呼ばれる凄腕の同心、萬七蔵。彼が評判もよかった元同心が殺された事件を探るうちに見えてくる、そのもう一つの顔……。その剣の達人の技とともに何者にも屈しない漢の姿に痺れます。本文庫から刊行されている辻堂さんのもう一つのシリーズ「介錯人別所龍玄始末」もやはり痺れる傑作です。

 次に、武川佑さんの『かすてぼうろ 越前台所衆 於くらの覚書』を。戦国時代、越前府中城の炊事場で働く於くら。毎日一人で夜中まで仕事をしていた彼女の前に腹が空いたとやってきた初老の男――彼は実は城主の堀尾吉晴だった! 偶然の出会いから始まる於くらの運命の変転。時代小説には食をテーマにした作品も多いですが、こちらは歴史小説ともいえる作品。合戦が起きたり、城主が変わったり、戦国ならではの世の変革の時代に生きた一人の女性の姿が、その美味しそうな料理ともに見事に描かれます。
 最後に、藤井邦夫さんの『碁石金 日暮左近事件帖』を挙げましょう。多くの人気シリーズを持つ藤井さんですが、こちらも文句なしのオススメシリーズ。普段は公事宿の出入物吟味人の日暮左近ですが、実は元忍び。剣の腕だけでなくあらゆる武術に通じたスーパーヒーローです! かつては敵対してきたが、いまは仲間である秩父忍びやはぐれ忍びとともに、各地の強力な忍びや剣豪たちと壮絶な戦いを繰り広げます。今回、左近の前に現れるのは一体何者か? そして埋蔵金をめぐる争いの結末はいかに!?
 2000年の9月から始まりました、この「編集長ジミーの編集後記」ですが、諸事情により今回が最終回になります。光文社文庫の話題以外に、映画やアニメ、音楽や美術展など、さまざまなジャンルをけっこう好き放題に取り上げてきましたが、思わぬ反応があったりして、ジミーも楽しく書いてまいりました。どうもありがとうございました。光文社文庫はこの秋、創刊40周年を迎えますが、これからももちろんずっと続いていきます。引き続きのご愛読をどうぞよろしくお願いいたします!

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色