編集長ジミーがオススメ、8月の光文社文庫!

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 ひょんなことで話題となりましたラスカル――『あらいぐまラスカル』ですが、あらためてアニソンは世代を超えて歌い継がれる、と証明しましたね! もちろん私も「ロックリバーへ」は歌えます(笑)。たまたまその前日、『小さなバイキングビッケ』の話題をしていたのですが、そちらも主題歌の「ゴルムにファクセに…」と仲間たちを挙げるところまで完璧に覚えてました。夏はアニソンの季節。早く歌える日が来るといいなあ。


 さて、8月の光文社文庫、まずは桐野夏生さんの『ロンリネス』から。前作『ハピネス』に続いて、弊社の女性誌、「VERY」に連載された作品の文庫化です。常にタイムリーな社会問題に鋭く斬り込んだ作品を描く桐野さんですが、こちらはまさに「VERY」連載というのが納得のテーマ。タワーマンションでのママ友たちの確執、そして不倫……リアルな家庭の問題が濃厚に描かれます。もちろんこの一冊でも楽しめますが、まずは『ハピネス』からどうぞ。


 次に、坂岡真さんの『番士 鬼役伝』をオススメしましょう。坂岡さんの代表的シリーズである『鬼役』はこれまでに31巻が刊行されていますが、本書はその原点ともいえる、「鬼役」の誕生を描く新シリーズです。将軍の毒味役として命をかけ、かつ剣の達人でもあり裏の仕事もこなす「鬼役」がどのように生まれたのか。注目です。来月にはその『鬼役』第1作が新装版として刊行される予定ですので、初めて「鬼役」を知った方はそちらもぜひ手に取ってみてください。
 続いては、伊東潤さんの超大作、『男たちの船出 千石船佐渡海峡突破』を。戦国時代を原点に、飛鳥から現代に至るまで実に幅広い時代の物語を描いている伊東さんですが、壮大な男のロマンを描かせたら天下一品。本書もそうした作品です。江戸時代、初の千石船建造に人生をかける職人の父子の執念。荒海との死闘は手に汗握ります。弊社の伊東さんの文庫では「海の男」をテーマにした作品が多いですが、『巨鯨の海』『鯨分限』などもオススメです。
 壮大な物語といえば、劉慈欣さんの『三体Ⅲ  死神永生』。第1作『三体』から始まった物語が、『三体Ⅱ 黒暗森林』を経てそこまでいくとは! とにかく圧倒されました。大森望さんのあとがきにもありましたが確かに小松左京さんの『果しなき流れの果に』や光瀬龍さんの『百億の昼と千億の夜』などを思い出しました。ケン・リュウさん原作、芳根京子さん主演の映画『アーク』も公開されたりと、中国SFの盛り上がりは今後も大注目ですね。

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