編集長ジミーがオススメ、1月の光文社文庫!

文字数 1,197文字

 あけましておめでとうございます。今年も光文社文庫をどうぞよろしくお願いいたします。さて、昨年末までは東京で、今月から名古屋で開催されます「展覧会 岡本太郎」はたいへん見応えがありました。「太陽の塔」の50分の1模型をはじめ、一つ一つの作品が圧倒的存在感で、まさに唯一無二の世界。そして半世紀以上前に刊行された弊社の『今日の芸術』『日本の伝統』の単行本も「展示」されていたのにはちょっと感激しました。どちらも現在は文庫で読めますので、ぜひお手に取ってみてください。
 それでは、光文社文庫1月のラインナップ。まずは南杏子さんの『ブラックウェルに憧れて 四人の女性医師』からオススメいたしましょう。現役の医師でもあり、その作品が次々と映像化されている南さんですが、光文社文庫には初登場となります。実際に医学部の入試で男女の合格に不正な差があったことが発覚したのは記憶に新しいですが、物語もそうした社会状況を背景に、差別と偏見の中でもがきながら自らの道を切り拓こうとする女性たちをリアルに描きます。医学の世界だけではない現実問題として心に響くはずです。
 次に鯨統一郎さんの『テレビドラマよ永遠に 女子大生桜川東子の推理』を。デビュー作の『邪馬台国はどこですか?』以来、独特なバーミステリを描いてきた鯨さん。本書もそんな、とあるバーでの過剰なまでの蘊蓄を盛り込んでの推理合戦。もちろん、ミステリとしての謎解き、どんでん返しも見事ですが、今回は挙げられるドラマや俳優たち、おまけにお酒の話など興味深いネタ満載です。このシリーズ、一作ずつ、あるとんでもない技巧が駆使されているのですが、来月には完結編『三つのアリバイ』も刊行されますので乞うご期待!
 最後は、こちらも光文社文庫初登場の彩坂美月さんの『みどり町の怪人』を挙げましょう。本作は「都市伝説」をテーマにした連作短編集です。都市伝説というのは「口裂け女」の昔以来、様々な話が消えてはまた生まれる不思議なものですよね。本書では、1990年代初頭を舞台に、とある田舎町のローカルなラジオ番組で話題となる「怪人」の噂が通奏低音のように物語に響きます。背景にはかつて起きた殺人事件があり、一話一話で描かれる町の人々のそれぞれの人生に「怪人」が絡んで、最後にはその正体が……。不思議な余韻が残る作品です。

 水木一郎さん……。先月、ここで書きました『ふたりのアニソン』が、まさかアニキの最後のステージになるとは思ってもいませんでした。多くの人が書いていましたし、私もすぐに思い浮かべた「Zのテーマ」の「ひとの命は尽きるとも 不滅の力〜」という歌詞。不滅なのはアニキの歌声だと思います。いつまでも、世界中で歌い継がれていくだろう歌は永遠です。千曲以上の持ち歌はどれもこれも素晴らしい歌ばかりですが、個人的には大好きな「心に汗を」でアニキのことを偲びたいと思います。

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色