編集長ジミーがオススメ、12月の光文社文庫!

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  東京都美術館で開催されていた「ゴッホ展――響きあう魂 へレーネとフィンセント」を観てきました。そろそろ海外からの美術展も増えてきつつありますね。とはいえやはり日時指定での入場。おかげで少しはゆっくりと鑑賞できるのはありがたいことですが。素描も含む多数のゴッホの作品はもちろん、ずっと観たかったルドンの「キュクロプス」を観られたのは嬉しかったです。


 さて、光文社文庫12月のラインナップ。まずは桜木紫乃さんの『光まで5分』からオススメしましょう。桜木さんといえば、直木賞を受賞した『ホテルローヤル』をはじめ、作品には北海道のイメージが強いと思いますが、本書の舞台は沖縄。ただし主人公は北海道から流れてきた女性です。那覇の路地裏、沖縄の最底辺ともいえる場所で、一癖も二癖もある人間たちと濃い接点を持ちながら生きる彼女。読んでみれば、やはり桜木さんでしか描けない世界だと思います。


 続いては福澤徹三さんの『群青の魚』を。条川市の特養老人ホームで起きた殺人。第一発見者を悩ませるストーカー。半グレ集団の罠に落ちる新米刑事。錯綜する事件はリアルで、現代の闇を鋭く抉ります。こちらはテレビドラマ化された、本文庫刊の『白日の鴉』と同じ世界観の作品になります。もちろん独立した作品ですが、前の作品に出てきた人物が登場したりしますし、『灰色の犬』『晩夏の向日葵』といった他の作品もぜひ手に取ってみてください。
 さらにもう一作、建倉圭介さんの『退職者四十七人の逆襲 プロジェクト忠臣蔵』を挙げましょう。12月になると、なんとなく「忠臣蔵」の季節な気がしますね。本書はまさしく現代の「忠臣蔵」。罠に嵌められた企業の社長のために、四十七人の社員たちが立ち上がる。それぞれの得意分野を生かして、狡猾な相手をどう出し抜くのか。その最後は本当に「討ち入り」そのもの! 痛快な企業小説を読みたい方にオススメです。

 あらためて、この秋のアニメは本当におもしろい作品ばかりですね。思いつくまま挙げますと『異世界食堂2』『86』『海賊王女』『鬼滅の刃』『白い砂のアクアトープ』『先輩がうざい後輩の話』『大正オトメ御伽話』『takt op. Destiny』『月とライカと吸血姫』『ブルーピリオド』『メガトン級ムサシ』『結城友奈は勇者である 大満開の章』『ルパン三世Part6』などなど。いずれにしても年末まで寝不足は続きそうです(笑)。


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