編集長ジミーがオススメ、10月の光文社文庫!

文字数 1,154文字

 内藤裕子さん作・演出の『灯に佇む』を観ました。「丸山ワクチン」を使用するかを含めて、がんにどう立ち向かうべきか、そして患者とその家族、医者との関係はどうあるべきか。現在の医療現場の難しい問題をじっくりと描いた力作でした。人間の生死を考える時間が増えたコロナ禍の今こそ観るべき作品ですし、再演を期待します。劇中でも書名が出ましたが、ワクチン開発者の丸山千里氏を描いた、井口民樹さんの『愚徹のひと』はあらためて読みたいと思います。


 さて、10月の光文社文庫、まずは辻真先さんの『焼跡の二十面相』から。日本ミステリー文学大賞も受賞された巨匠であり、かつアニメファンの誰もが尊敬する脚本家でもある辻さんは、昨年も『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』で各ミステリーランキングの上位に入るなど大活躍されています。本書はタイトル通り、江戸川乱歩の創造した明智小五郎と少年探偵団、そして怪人二十面相の世界を描いた作品。乱歩が描かなかった空白の時代を埋める物語です。今年単行本が刊行された続編の『二十面相、暁に死す』とともにぜひ。


 続いては、阿津川辰海さんの『星詠師の記憶』をオススメします。阿津川さんも弊社刊の傑作短編集『透明人間は密室に潜む』で昨年の各ミステリーランキングを席捲しました。本書はデビュー作である『名探偵は嘘をつかない』に続く長編第二作。紫水晶に未来の出来事を映像として記録させる力を持った星詠師。その映像に残された殺人事件に映し出された容疑者は、本当に事件を起こしているのか……。特殊設定ミステリーが流行っていますが、本書も間違いなく名作として記録される一作です。
 もう一作は前川裕さんの『クリーピー ゲイズ』を挙げましょう。前川さんは『クリーピー』で第15回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞してデビュー。同作は黒沢清監督によって映画化されて大ヒットしました。シリーズはその後も書き継がれてきましたが、本書はある意味で原点回帰。主人公の犯罪心理学者・高倉のゼミ生の失踪事件を端緒に、彼自身の周りにも不気味な出来事が相次ぎます。もちろんこの一作で十分おもしろいですが、未読の方はシリーズを最初からお読みいただければと思います。
 それにしても困りました。この秋のアニメ、豊作とは聞いていましたが、その通り。ますます睡眠不足になりそうです。『鬼滅の刃』や『ルパン三世』のような作品はもちろんですが、たとえば『海賊王女』なんて、皆川博子さんの『海賊女王』を担当した身としては観なくちゃ、と思います。登場人物にはグレイス・オマリーの名も見えますし。そういえばこちらOPはJUNNAさんでEDは鈴木みのりさん。となればワルキューレですね。『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE‼‼‼』も早く観に行かないと‼‼‼

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