編集長ジミーがオススメ、6月の光文社文庫!

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 角川武蔵野ミュージアムで開催されていた「サルバドール・ダリ エンドレス・エニグマ 永遠の謎」展に行ってきました。ダリといえばあの特徴的な口ヒゲを思い出しますが、それをつけての撮影ができたりして、まずは、つかみはOK(笑)。展示の目玉はジャンフランコ・イヌアッツィ氏のイマーシブアートによる展示。360度広がる映像でダリの世界を体感します。あらゆる面で革新的な芸術を創造してきたダリならば、おそらくこうしたデジタルな展示もきっと行っていたのではないか、と思わされました。


 さて、光文社文庫6月のオススメ。まずは小路幸也さんの『〈磯貝探偵事務所〉からの御挨拶』から参りましょう。本文庫から刊行されました『〈銀の鰊亭〉の御挨拶』に続く、北海道を舞台にしたミステリーシリーズの第二作です。前作では刑事だった主人公の磯貝公太。警察を辞めて私立探偵となった彼が、人気ラノベ作家の失踪事件の調査を依頼されますが、予想外の展開に……。シリーズは最新刊の『失踪人 磯貝探偵事務所ケースC』も単行本で刊行されていますので未読の方は一作目からぜひ!

 次に和久井清水さんの『不知森の殺人 浅見光彦シリーズ番外』を。先月は同じく浅見光彦シリーズ番外として、浅見家のお手伝いさんである須美ちゃんが探偵役を務めるシリーズをご紹介しましたが、こちらはその浅見光彦の祖先である浅見元彦を主人公にしたシリーズ第二作になります。行方不明になった友人の捜索を頼まれた元彦が向かった先で起きた殺人事件。そこで子孫の光彦に負けない推理力を発揮。やはり内田康夫ファンなら必読でしょう。第一作の『平家谷殺人事件』もよろしくお願いします。
 最後に、石田祥さんの『火星より。応答せよ、妹』を挙げましょう。京都本大賞を受賞した『猫を処方いたします。』が現在、人気シリーズとなっている石田さんが光文社文庫に初登場です。宇宙飛行士となって火星に降り立った主人公が、地球への通信中に義理の妹に公開プロポーズ……いや、そんなシチュエーションになったらプロポーズされた方は動揺しないわけがないですよね。そんな状況下で、2人の感情はどう揺れ動くのか。大宇宙を舞台にした超遠距離ラブストーリーに浸ってください。

 今年最大の問題作になりそうな映画『関心領域』は本当に凄い作品ですね。タイトルがあまりにハマっています。アウシュビッツ収容所の隣にある豪華な家に住む収容所長の一家。隣から聞こえ続ける異様な音を気にせず贅沢な暮らしをする一方で、敏感に反応する子どもや老人。アメリカのアカデミー賞で外国語映画賞と、もう一つ音響賞を受賞したのが確かに納得です。最後はもう耳を塞ぎたくなるほど。映画のサントラCDをけっこう持っているジミーですが、このサントラは入手することがあっても聴けないかも、と思います。

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