編集長ジミーがオススメ、10月の光文社文庫!

文字数 1,111文字

 夏アニメはやっぱり『リコリス・リコイル』でしたねー。千束とたきなのコンビをはじめ喫茶リコリスの面々は最高でしたし、終盤に向けて加速度的に盛り上がるドラマと、キレキレのアクションには毎回体感時間は5分。見終わると茫然でした。最終回の翌週の放送日に、あるはずのない「14話」を求めてトレンドが盛り上がっていたのも頷けます。ジミーもスピンオフ『リコリス・リコイルOrdinary days』も読みましたし、Blu-rayも全巻予約しました。ぜひ続編もよろしくお願いします!


 さて、光文社文庫10月のラインナップ。まずはまさきとしかさんの『屑の結晶』からオススメしましょう。2人の女性を殺したとして逮捕された殺人犯。身柄送検後の過激な言動から「クズ男」と呼ばれますが、しかしその彼を「救う会」に集まる女性たちも多数。彼女らから依頼されて弁護人となった女性弁護士も彼に翻弄されますが、その過去を追ううちに次第に浮かび上がってくるものが……。「屑」と呼ばれる彼の人生の裏側にあったものは何なのか、非常に考えさせられる力作です。


 続いては平石貴樹さんの『潮首岬に郭公の鳴く』を。単行本刊行時には各種ミステリーランキングを賑わせた傑作がいよいよ登場です。帯でも有栖川有栖さんがお書きになっているように、美女三姉妹の殺人といえばミステリーファンなら誰もが知っている、あの不滅の名作を「本歌取り」したこの作品。本格ミステリーとしてはもちろん、函館のある一族の壮絶なドラマを描いて圧倒的な読み応えです。若きフランス人の名探偵、ジャン・ピエールの見事な推理をぜひご堪能ください。
 最後に大ベテラン、梓林太郎さんの『小倉・関門海峡殺人事件』を挙げましょう。トラベルミステリー最後の巨匠ともいえる梓林太郎さんですが、特に山岳もので名作を多く書かれています。そのヒーローの一人が今回も活躍する長野県警の刑事、道原伝吉です。今回は小倉にまで足を伸ばしますが、松本清張記念館も訪れ、かつて清張氏とも深い接点があった梓さんならではの内容が語られます。精力的に事件を地道に追う道原伝吉の姿、やはり清張作品にも通じるものを感じました。
「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選3」、今回も全7作観ることができました。30年ぶりに観た『冬の猿』。若きベルモンドと円熟の極みのジャン・ギャバンの唯一の共演作。当時はあまりわからなかったのですが、今ならよくわかります。何と素敵な作品だったのか。男たちの、ただ一度の冬の花火。モノクロの画面に多彩な色が輝いていた気がします。「傑作選1」から数えればこれで20作品。まだまだ観たい作品も多いですし、「傑作選4」も期待しています!

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色