第47回/僕は計画殺人ができない

文字数 1,549文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


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 僕は計画犯罪を「高確率で」行えない。生まれつき嗅覚がないため、そのせいで計画が成立しない確率が高く、現実的ではないからです。


 もちろん衝動的に殺人を犯す可能性は誰にだってある。僕もキミも、万が一の確率では殺したいほど憎い人間が駅のホームで立っている様子を明日見かけるかもしれない。衝動については誰も制限をできない……ので、考慮しない。あくまで「本気で殺人をしても捕まらないために全力を尽くす」ことが大前提である。もちろん計画犯罪の方が罪は重いので、罪が嫌いな人間はできるだけ避けた方がいいでしょう。


 実際、密室で、まあ現実的に考えれば自室に誘い出してでしょうか。そこでサクッと後ろから刺したとしよう。なんかいい感じに死体を処理するはずだ。その際、血や肉の匂いが充満する。が、嗅覚のない僕には、実体である死体をどうにかできたとしても、知覚できな「匂い」にはお手上げなのだ。もちろん、現実的には匂いをどうにかする方法も無限にあるでしょうが、消臭できたという「確証」が持てないのだ。もしバレたら人生が台無しになる状況で、「たぶん匂いはどうにかなっただろ……」なんて曖昧な安心感で生きているわけがない。ただでさえ、僕は自分で確認できないため、お風呂直後ですら「体臭とかないかな……」って不安になるのに。


 誰かと協力するって発想もない。それこそ懸念が多すぎる。計画において、リスクが大きすぎる場合、まずは懸念事項を入念に潰していき、そのうえで「賭ける価値はある」と判断する必要がある。0.1%の勝負は、ただの無謀なので僕は好きな方ではない。20%くらいなら結構好きだけどね。僕はわりと麻雀を情熱的に打つぜ。


 ……ということから考えると、僕は計画殺人をしないだろう。どうしても殺したい人が存在したとて、自分の人生を犠牲にするほどじゃない。さらに言えば、こんな僕でも当然善性や倫理観は僕なりに持ち合わせているので。なので、「衝動」が起きない限り、僕と一緒に居て命の保証はされていると思って良い。まあ人間なにがあるのかわからないし、「魔が差す」確率は0.0001%としてもあるっちゃあるけれど。


 逆に言えば、僕は計画殺人をすることがないのに、道行く人たちはいざとなれば計画殺人をすることができる。条件さえ揃えば死体と匂いを処理できるわけで、妄想や幻覚を除けば「匂い」に関する問題はクリアできる。罪悪感を覚えるようなやつは元から殺人を計画しなければいい。つまり、僕は他人より安全なんです。


 そう、僕は安全なんです。計画的に人を殺しません。それどころか、日常生活ですら自分が体臭を放っていないか怯えるほどの小心者です。めちゃくちゃ良い人でしょう? それに対してあなた達はどうだ。涼しい顔して計画殺人を企てている可能性がある。なんと恐ろしい! この社会は、「誰もが計画殺人を企てている」可能性を孕んでいるというのに、その確率を無視した呑気な精神で成り立っているのです。怖い怖い。よかった、僕は人を殺せなくて。

【カードダス】


プレミアムバンダイの奴隷なので、ついにカードダス本体も購入してしまった。実機とほとんど近い触り心地。ぐるぐるハンドルを回す時の音と感触がいいんだぜ。

とはいえ、僕はSDガンダム世代でないので、ガンダムのカードダスを回した経験はない。ロックマンXはまだあったような気がする。遊戯王は確実にあった。なぜかカードダスでの遊戯王収録カードは初期というのも考慮しても弱かった

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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