第19回/深夜に牛丼チェーン店やラーメン屋へ行く

文字数 1,623文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


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 こうして今夜も深夜に一人でノートパソコンをカタカタしているわけですが、もちろん誰だって不意に人恋しくなる。が、人恋しさで深夜に恥ずかしい行動(急にわけわからんツイートをする・連絡をする)をして翌日後悔することも珍しくありません。かと言って、夜でもみんながお酒を飲んでいるタイプのお店に行くほど気力もない。


 そんな時! 街の牛丼チェーン店やラーメン屋さんに行ってみよう。どこか寂しい背中をしたお兄さん・おっちゃんたちで溢れている。夜勤上がりか、はたまた朝から仕事かはわからないが、みんな労働という十字架を背負ってくたびれている。世の中、こういうものなのだ。キラキラしているだけが人生じゃない。そして、自分も牛丼並みを頼み、この景色の一部となる。みんな、寂しいのだ。


 といった気持ちになったので、久々に家系ラーメンへ行ってみました。深夜に。家系は夜遅かったり、朝から営業していたりでえらいね。中野にもたくさんあります。


 ラーメン並を注文して席へ。ドアの隙間から吹く風が冷たい。ハイテンションな店員さんたちは寒さにびくともしない。カウンターは全席、男男男男。深夜なのに大盛況。これが労働後の男の世界だ。僕は、ぜんぜん働いていませんが……なんならさっき起きた。


 せっかくなので、男たちの会話に耳を傾けてみます。「○○くんのインスタのストーリーズ見た!? マジでかっけーよ!!」「(恐らくアイドルグループ)の○○ちゃんって半分ハーフらしいぜ!このスタイル反則ぅ〜!!」。


 いい……。ザ・深夜のラーメン屋の会話。教室のおちゃらけグループが、そのまま身体だけデカくなったような世界。これを聞くために、わざわざ胃の容量的にそこまで食べられない家系まできたのだ。というか、「半分ハーフ」って言葉としておかしいだろ。もちろん彼らはそんな細かいこと気にしない。頭にあるのは、もう目の前のラーメンをどう調味料でカスタムするかどうかのみ。


 世の中、これくらい単純であるべきかもなと劇場版イデオンのラストのような悟りを感じていると、ラーメンの準備ができたので店員さんから声をかけられました。



「にいちゃん、○○つける!?」



 早口で何を言っているのかわからない! しまった。家系や二郎系は注文時にいろんな好みやオプションを伝えないといけない。あまりに久々すぎて失念していました。なにをつけるかどうかわからない……。仕方ないので、聞き返してみますが……。



「○○つけますか!?」



 ダメだ。やっぱり聞き取れない。さすがに二度も聞き返すのは失礼。それに、無料でなにかをつけてくれるのならお願いしたほうがいい。「お願いします!」と返してみます。すると……。

 ライスがついてきてしまった。炭水化物×炭水化物。家系ではお馴染みのタッグですが、少食気味の自分にとってはつらい。これいけるか? 不安がどっと押し寄せ、さっきまで隙間風で寒がっていたのに汗が吹き出る。


 結果として、無理でした。ライスもラーメンも半分でギブ。どっちかならいけたけれど……。残すとめちゃくちゃ怒られそうで怖いので、店員さんが見ていないときに、さっと皿を上にあげて逃げるように退店。ごめんなさい。人恋しさだけで素人がラーメンを食べに来てすみません。


 こういう失敗パターンもあるのか。カウンターでは、まだ男たちが「インスタにいる一番エロい女」の話で盛り上がっていた。

【そういう感じのショーケース】


そういう感じの作品をショーケースにまとめています。左の天使さまのフィギュアは、えっちすぎるので指で隠してみたのですが、なんだかえっちな自撮り女性がよくやるやつみたいな構図になっちゃいましたね。

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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