第46回/本を積むことを恐れない

文字数 1,462文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


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 あまりに日々、積んでいる本や映画が溜まっていくので、このままだと永久に埒が明かないと直感。状況を整理し、溜まった本・小説・漫画・映画・アニメ(特撮)などをリスト化。観るべき優先順位に並べ、「まずはこれらを読み終わるまで新しく買い足さない」ための表を用意したのです。


 すると、どうしたことでしょう。あれだけ楽しみにしていた作品たちを追うことが、まるで「義務」や「宿題」のように感じられてしまい、いっさい食指が伸びない。「僕はいま興味のある作品を堪能しているのではなく、リストを埋めるために"消化している"にすぎない」と、自分自身の無責任さに嫌悪感すら抱くほど。リストがあると、それを埋めることの喜び、ゲームを攻略してコンプしていくような快感の方が勝ってしまうことに気づく。


 なにが「読む・観るべき優先順位」だ! 興味の対象への順位なんて刻一刻と変化していくものだ。衝動だ。衝動がすべてを上回る。「いまこの作品が観たい!!!」と思い立った瞬間に、仕事や人間関係なんてどうでもいいことを捨てて、一秒でも早く作品と向き合うモードになれるかどうか、ただそれだけ。それだけが重要なのだ。


 本や映画が積まれていく。大いにけっこう。なんと嬉しいことなのだろう。自分の興味は、感性は、積み重なって塔を築くほどに成長の余地がある。なんと贅沢で幸せなことなんだろうか。追えば追うほど、気になる対象が増えていく。世の中には、まだまだ僕の知らない知識や刺激に溢れている。たいへんなことだ。これでは毎日に飽きがこない!


 ならば、本も漫画もどんどん買っちゃっていい。映画も片っ端からチェックリストへ入れろ! 必要になった瞬間に、できるかぎりスムーズに該当作品へアクセスできる「環境」を買ったわけだ。せっかく衝動が湧いたというのに、なかなか読書や視聴までのハードルが高くて気持ちが落ち着いてはもったいない。Kindleに無いいつか読みたい本は急いで買っておけ! 読みたくなったネットで注文しても、届くうちに熱は醒めているかもしれないぞ。まだまだ読んでないモノがあることを心配するな。気になった瞬間にどんどん買って、どんどん人生のご褒美を積み上げていけ!


 好きな時に好きなモノへ手が届く「環境」を、自分の興味の重なりでそびえ立ったバベルの塔がそこにある喜び。これこそ贅沢かつ、人間らしさに溢れた状況だ。バベルの塔であり「バベルの図書館」だな。


 どうです。途端に机の上の本の山が誇らしく思えてきたでしょう。平たいままの机なら、今すぐ本屋へ行って数千円分、思うまま書籍を購入して積んでおくべきだ。ふと、目をやるとそこにまだ見ぬファンタジーやミステリーが待っている。あなたの知的好奇心はまだまだ満たされていく。


 ……と、ここまでテンションを上げていかないと、いくら興味があったり、好きな対象だったとしても手が動かないものです。本棚も無限じゃない。先の楽しみがありすぎるのも考えものだ。

【R・ドロシー・ウェインライト】

『THE ビッグオー』のヒロイン、ドロシーのfigma。figmaもリボルテックもねんどろいども、10年前と比べて値段が2倍近くになってきましたね。昔は2000円あれば稼働フィギュアが買えた時代もあったんですよ。

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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