第37回/にゃるらが体験したアルバイト集

文字数 4,184文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


第1回はこちらから

 前回は家賃と住まいの話だったので、今回はアルバイト編。

 これまで僕が体験したアルバイトのことを赤裸々に書き連ねていくぜ。



・コンビニバイト

 おすすめはしませんが、かなり受かりやすい。特に緊急で人を募集しているところは。

 お店によりますが、あんまり容姿の派手さも勤務態度も気にしない。いっぱいシフト入ってくれさえすればいいので、とにかく「週○回でれます!」とだけアピールすれば受かる。

 仕事の内容は、とても大変! 接客に商品整理、店員同士の人間関係とか、異常な客の対応……とにかく休憩時間までは動きまくり。暇じゃない分、時間が過ぎるのが早く感じるメリットもありますが。

 しかし、コンビニは昼や夕方と夜勤でまったく性質が違う。

 僕は、ほとんど夜勤に入っておりましたが、良くも悪くも夜勤はぶっとんでいる。そもそも、深夜にくる客なんて変な人だらけだし、夜勤に入っている同僚も独特。単位を取る気がない大学生か、ギャンブルなどでやらかしたおっさんなど。あとは外国人。

 お店によっては、空き時間でジャンプ読んだり、廃棄の弁当を食べたりもできる。これは嬉しい。忙しいかどうかでいえば、それなりに暇。テキパキ作業を終わらせれば、2.3時間はチョロチョロ入ってくる客の相手するだけになったりもする。

 が、とうぜん夜勤によって失われるモノも多い。例えば、生活リズム。22時〜8時まで働いているのだから、勤務後に眠りにつくのは朝10時くらい。それから19時くらいに起きて、またのんびり夜勤に向かう。太陽をほとんど浴びない暮らしとなり、健康や生気がみるみる失われていく。昼からでかける習慣ができないので、友人と遊ぶ予定を合わせるのも難しくなる。

 その代わりに、通常のバイトよりも夜勤手当で多くもらえる。お金を優先するならアリかもしれないが、個人的にはせっかくバイトなんて面倒な体験をするのだから、もっと変な体験や友達ができる方に振った方がいいんじゃないか? って気もする。

 言われたことを淡々とこなすことが楽という「コンビニ人間」も居るかもしれませんが。



・日雇い

 日雇いに登録すると、人間として扱われない代わりに、ふらっと働いてその日にお金がもらえる。当時の僕のように、とにかく急いでお金を集めないと電気やガスが止まる! って場合にオススメ。

 しかし、僕はこの日雇い作業中に財布を盗まれてお金がマイナスになったので、上司も同僚も決して仲間とは思ってはいけない。自分と同じく、ビックリするくらい生活がギリギリな奴らであることは留意しておこう。



・倉庫作業

 そんな日雇い労働に応募すると、たいていは肉体労働へと飛ばされる。

 朝早くから事務所に集まり、車に乗せられ、行ったことがまったくない工場地帯に運ばれて、昼から晩まで働かされる。

 はっきり言って、地獄です。次々とクソでかいトラックが倉庫に到着し、その中身をひたすら運んでベルトコンベアに載せていく。一瞬の休みもなく、ダンボールを運びきったら走って次のダンボールを運ぶ。疲れて立ち止まっていたら、ガタイの良い兄ちゃんたちが睨んでくる。それを時間いっぱい繰り返す。

 なんも良いことなさそうですが、身体は鍛えられるでしょうね。マッチョな方からすれば、筋トレしていたらお金が貰えて最高の仕事なんじゃないでしょうか。健康面で見れば悪くないかもです。

 しかし、この作業後に僕は財布を盗まれましたが……。



・引っ越し

 これも日雇い作業の一つとして割り振られました。

 倉庫作業よりは若干楽です。家によるでしょうけど。重くて冷蔵庫ですが、それもマッチョな同僚と一緒に運ぶし、移動中は車で寝ていていいし(ドライバーの方からの圧力はあるけど)、倉庫よりはオススメ。まぁ日雇いは仕事を選べる立場じゃないので、今日はコレって言われたらソレをするんですけど。

 倉庫よりも多少楽な代わりに、他人の大切な財産を運ぶわけで慎重さが大事。少しでも壁にぶつけてしまったら、仲間たちから死ぬほど説教される。そういったプレッシャーが怖くないのであれば良いかもしれませんが、個人的には他人の荷物を運ぶより、雑に知らないダンボールを倉庫で右往左往している方が精神的に楽でしたね。日給的には、倉庫も引っ越しもかわらず1万前後じゃないでしょうか。



・コールセンター

 コールセンター用の派遣日雇いセンターみたいなところに登録すると、上二つの肉体労働と違い、コールセンターでひたすら電話をするバイトを紹介してもらえます。ただ、電話をかけ続けるだけなのに時給が肉体労働より高い!

 が、高いにはそれだけの理由がありまして、座りながら毎秒毎秒電話をかけ続け、電話をとった老人にひたすらアンケートを行う。もちろん、急に知らない人から電話がきた老人は基本的にキレ気味で、「お前誰だよ!」と怒鳴られてブツ切りも珍しくない。そもそも、ちゃんと答えたところで向こうに得とかないし。

 精神的な苦痛は最も大きいかもしれません。知らない人を数分間を無駄にするのですから。「なんらかの連絡がきたんだ」と見知らぬ電話番号でも応答してくれた老人の善意を踏みにじるような行為。これを勤務時間いっぱいに繰り返す。

 とは言え、これが若くてかわいい女性の声であるなら、相手の態度も軟化するでしょう。それを差し引いても怠い仕事であるかもですが、「かわいさ」で多少楽になるのは面白い要素ですよね。



・DJイベントの受付

 友達がアニソンイベントでDJをやっていたので、受付をお願いされたことがあります。

 かなり楽です、椅子に座ってボケーっとして、人が入ったらお金を受け取ってチップを渡すだけ。開場時間くらいしか一気に人こないし、音楽に疲れて休みに来た人と雑談していたら時間が過ぎる。あと、フロアから離れてDJたちが女性客をナンパいている様子を観察できる。

 一つだけ問題があるとすれば、どんなにフロアが熱狂していても自分は見に行けないこと。あまりDJイベント自体に興味はないので僕は大丈夫ですが、これがイベント好きだった場合、この疎外感はデカくて虚無になるでしょう。

 友達がなんらかのイベントを主催した際、「受付やるよ!」って言えばやれるかも。給料は主催者次第。



・居酒屋

 高校生の頃にやっていました。地獄。

 酔った客から絡まれまくるし、オーナーは乱暴。「なんでメニュー覚えられないの!?」と怒鳴られることは毎日。

 しかも沖縄の頃でしたから。観光客も地元民も毎晩騒ぎまくり! 「お前も飲みな!」って誘われることはつねにあるくらい客と店員の距離が近い。オーナーからすれば喜ばしいことですけど、ただのアルバイトの僕からすれば厄介なだけである。

 鍛えられるぞといえば、そうかもしれません。「若い頃の苦労は買ってでもしろ」なんて言い分は好きではないですが、敢えてこの地獄を体験することによって、他のバイトが相対的に楽になる……ってのはあるかもですね。どうせ、人生は苦労だらけなのだから、自ら足をつっこまんでもとも思うが。



・ネットメディアで文章

 当たり前ですが、ネットメディアから仕事がくるには、「自分が書いた文章が拡散されて編集者の目に留まる」または「自分から原稿/企画を送る」の二択。僕はつねに前者です。だって、書きたい文章があったとしても、自分のブログやnoteに載せればいいんだし。

 しかし、僕はブログでも一切アフィリエイトを貼っていなかったので、どれだけアクセスされても一円にもならない。貧乏だった自分にとって、向こうからもらえる「原稿料」は貴重でした。ありがとうございます。

 他にも、出版社と組むからこそできる企画もあります。インタビューとか、もっと大掛かりなやつとか。企画によって報酬もピンキリですし、やっぱり自分が運営している媒体で面白いことやっていた方が、読者は増えます。

 お金か読者かを見極めつつ、バランスを取って原稿を書くといいかもです。今思えば、素直にアフィリエイト貼っていたらもっとお金もらえたのに!

 結局、自分のアカウントで記事を投稿し、そこから興味を持ってもらえた編集から連絡を待つことが一番です。試しに、ライター募集のサイトに応募してみたら、クソみたいな匿名商品レビュー(とにかくめちゃくちゃ絶賛して、使ったことすらないグッズを大げさに紹介する)を3件書いて500円って返ってきましたからね。ネットにゴミページを増やしてくだけ。なんの生産性もない、むしろ世界にとってマイナスの最悪な作業です。精神が腐っていくでしょうから、あなたはそんなことをしなくていいんですよ。僕もすぐ断りました。



・治験

 まだ出回っていない薬を飲まされ、実験体にされる代わりにお金がたくさんもらえる最強のアルバイト。

 昔は、僕も治験で2ヶ月入院したりしました。病院で寝て漫画読んで寝るだけで40万くらいもらえたかな。最高〜!!! ではあるけれど、若い時間を売ってお金にしているのだから、考えようによっては最も効率が悪い。個人的には、本さえ読めるから無駄には思いませんでしたが。「読書期間」ってわりきっていたし。

 友達は、アーケードコントローラー持ち込んで、ひたすら格ゲーやっていたそうです。「これだけを極める時間」が用意されて、その上で大金がもらえると思うと凄いよね。

 ただ、現在では治験に受かるためにワクチン未接種が優先される。無料で打てるのだからワクチンは打っていたほうが良い。結果的に、今の治験会場には輪をかけてヤバい奴らが集まってきている。カッコいいぜ。



 こんな感じです。みんなも、ドギツイわりに雀の涙みたいな賃金で働かせる労働を通して、社会への恨みつらみをパワーに換えよう!

【さくらちゃんの栞】


数年前、六本木で開催された『さくら展』で購入した栞。こんなかわいい栞を挟んじゃったら、読書どころじゃなくなるだろ! と未開封でしたが、やっぱり栞は栞としてあるべきだよなと最近ようやく開封しました。読書を再開する際の楽しみ。

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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