第42回/自分語りは誰でも面白くなる

文字数 1,906文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


第1回はこちらから

 インターネットの匿名文化では、基本的に「自分語り」はご法度ですが、それは知らない人の自分語りを突然浴びた場合で、他人の人生というのは絶対に面白いと思っております。そもそも、誰もが自分と他人を比べることで物事や常識の基準を知ります。情報は多ければ多いほどいいのです。あなたの考え方、生い立ちの話は絶対に誰かの役に立ちます。


 誰もが違う育ち方や環境を持つため「普通の人生」なんてありえないわけで、たとえそれがプラス方向でもマイナス方向でも、他人から見れば刺激があることでしょう。特にマイナス方向……コンプレックスは創作や技術のバネになるし、自分から傷を見せることでトラウマを和らげる面もあります。


 しかし、何度も自分語りだけされても鬱陶しいのも事実、文章や動画でスッとお出しできると一番格好いいし、自分の人生とその本質を語るわけですから、できる限り受け手側に余計なストレスを与えたくないですよね。やっぱり、自分のことを知ってもらいたいからには、1から話したいところだと思いますが、他人に話を聞いてもらうため、とても残念ですが冗長な部分は削げ落とし、話に起伏と読後感を用意する必要があります。それについては後述。


 あとは文章の組み立て方しだいですが、それはもう日本で生まれてインターネットをある程度嗜んでいる時点でどうにかなります。多少、好きな作家のエッセイなどを読んで、好きな文体を掴んでみましょう。文章の良いところって、イラストと違って見れる形にできるまでが短いのがポイントだと思っています。それでも不安ならダメ押しに、文章の書き方についての本を二三読むと良い。『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、シンプルでオススメ。


 一記事ではだいたい4000文字が気合い入れて読んでもらえる限度と言われており、個人的にはそれもちょっと長いと思うので、3000文字以下かなと思っています。2000くらいが丁度いいかな。好きなこといっぱい詰め込みたい気持ちはわかりますが、カードゲームだって、基本的にはデッキの枚数は最低限度に抑えておいた方が強いはず。


 さて、肝心の本文ですが、文章の評価ポイントって裏技があるんですよね。僕はそれが上手くいったので、読書感想文でそこそこの賞を取れたりしました。その裏技ですが、簡潔に言えば「等身大の自分の視点」です。人間は他人の生の感情が大好きなんですね。読書感想文だって、その本について書くのではなく、その本を踏み台にした自分語りをすることで、大きくウケが変わるのです。自身の感性をぶつけましょう。


 大丈夫、誰だって本音はぜったい面白い。変に取り繕うからありきたりの感想になるんです。その時にどう感じたのかを正直に、表現を凝りたいなら類語辞典も使って(ネットで充分ですが)より的確にしていきます。


 先程、起伏を作ると言いましたが、自分語りの盛り上がりどころは、自身の感情が一番動いたシーンです。そこをサビにするイメージで組み立てていきましょう。


 最後の読後感はとても重要。ここで気の利いたカッコいい一文で締められるかどうかで、評価はぜんぜん変わります。終わりよければ全てよし、逆もまた然り。締め方については、もう考えて考えて考え抜きましょう。好きな作品のセリフや歌詞の引用とか、自分が引っ張り出せる最高の一文をぶつけていく。ある意味、これが一番むずかしいのですが、ここが正念場ですから、気合い入れていきましょう!


 そしたら、ほら、完成です。学校への恨みつらみとか、思春期の甘酸っぱい体験とか、好きな作品にハマった情熱とか、テーマはなんでもあり。あとは、この文要らないかなって枝葉を切っていくだけ。与える情報は絞ったほうが勢いがでますから。生み出した文字たちを消去する苦しみはつらいですが、そのほうが絶対に読みやすいと信じて泣く泣く処理していきます。そうすることで、あなたが一番伝えたかったこと、サビがより光り輝くのです。

モンドリアンのパズル


ピート・モンドリアンの代表作が両面パズルに。本来なら、分割線が入るので絵画のパズルに興味がないのですが、モンドリアンの場合は、この線もまた味になるし、自ら組み上げることでなにかが見えてくるかと挑戦。難易度は鬼高い。とりあえず、色が少なければ少ないほどパズルは難しいことはわかりました。

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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