最終回/壁打ち最終回

文字数 1,513文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


第1回はこちらから

 このコラム連載も前回でちょうど1周年だったので、区切りがいいだろうと今回で最終回です。といっても、別に僕は個人で毎日エッセイを投稿しているし、講談社からも2月に小説の刊行予定です。小説と当コラムの編集さんは同一人物なので、僕視点からもお別れという気分がまったくない。よく言えば円満なラストです。


 最後とて、特別最後らしいネタがない。やむを得ないので終わり際くらい自分を褒めると、このコラムは一年間一度も落とすことがなかった。すごい! めちゃくちゃギリギリに入稿することはあったけれど……。調子のいい時なんて6回分くらいのコラムをストックしていた時期すらある。なので、書き終えた内容が一カ月以上後で公開され、「こんなこと書いたっけなあ」「この時はこう書いたけど今は全くそんな気分じゃないな」となることもしばしばありました。人間の感情も思考もそう簡単に一カ月先まで長続きしないものです。


 コラムの一応のテーマが「壁に向かって話している」なので、50回以上の連載でほとんど他者が登場しない。ほぼ僕一人がぐるぐると脳内ループしているどうでもいい考えや、特筆自分のアカウントに書くことでもない小さな出来事だけで構成されている。これはこれで面白いんじゃないかと気に入ってはいますが、まあニッチであったことに変わりはない。逆に言えば、本来の僕の読者でない人たちが、講談社などから何らかの導線で偶然ここへ辿り着き、よくわからないけど読んでみようとちょっと追ったりしてくれた可能性はそこそこあります。ネットの意外なところに意外なモノが設置されていて、それが存外暇つぶしになる体験は好物であるので、もしかしたら当コラムが誰かにとってのわずかな暇つぶしになっていたらとても嬉しい。


 この場合、通常の最終回なら無事にラストを迎えての感想や感謝があると思われますが、前述した通り、あんまり僕の環境は変わらないのでそんなに思うことがない。所詮は壁打ちであるからして、これくらいドライなのも主旨に沿っていていいんじゃないか。読者の反応もだいたい僕個人のエッセイにつくので、あえて当コラムの記事を名指しで話題にされたことも無い。感謝してないってわけでもないけれど、かと言って声を大にして「ありがとう!!!」と書くのも嘘くさい。これから講談社さんとは僕がとち狂って何もかもめちゃくちゃにしない限り、小説などで今の編集さんと二人三脚は続くのだから、この連載を行ったことには大いに意味があります。かなり遠回りながら得られるものもあったし、こういうのは遠回りだからいいのだ。


 ……が、それも僕の個人的な話で、読者とは無関係です。無理やりこじつけるなら「小説の方もよろしくね!」って感じか。なら、ここでリンクなり書影なりあればよかったのですが、いかんせん2月刊行予定なのでまだどちらも公開されていない。なんとも微妙な締め方となりますが、人生は長く、ネットには無数の残骸が漂っているわけですから、こんな微妙な最後があってもいいでしょう。


 それでは、またどこか意外な場所、または書店やSteamなどで会いましょう。さようなら。一年間、ありがとうございました。

【にゃるらと部屋の壁】

いつも、このボールチェアに腰を据えて壁に話しかけてきた。

最近は壁にターンエーやターンXが飾られたのであんまり寂しくないね。このコラムが終わったので見えない壁打ち相手がさらに減っちゃいました。泣き。

おやすみなさい。

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