第40回/失せる美少女キャラクターへの興味

文字数 2,128文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


第1回はこちらから

 十代の頃は、美少女ゲームの影響で美少女キャラクターに夢中であった。


 当時から特撮、ロボアニメなども好きだったけれども、やはりまず美少女を求めていたと思う。「美少女キャラクター6:その他(人生含む)4」くらいの割合だったんじゃないか。


 それが今では「美少女キャラクター2:特撮・実写映画8」になっています。気づけば無心で未視聴の昭和特撮などを追ったり、実写映画をひたすら観たりが楽しくなってきたのです。いつの間にか購入する立体物も、ウルトラ怪獣やメカモノの方が増えてきて、部屋が美少女フィギュアよりもグロテスクな怪獣やカクカクした特撮のオモチャで埋まってきてようやく理解し始めてきた。


 単純に、自分の次の興味として、実写での映像表現に映ったことを実感しています。なにもかもが自由なアニメーションでなく、現実の風景・人物を使用するという大きな縛りのある映像で、どこまで美を追求できるのか、過去の名画を撮ってきた監督はどう表現したのかを、この目でたしかめることが楽しい! そこにクソでかい怪獣やウルトラマンが登場して戦っていたら……もっと嬉しい! ということで、特撮や映画をぼんやり鑑賞する時間が増えたのですね。


 僕の中にあった美少女像は、いったん「超てんちゃん」で全て吐きだしたので、そこへの興味がごっそり抜けた感覚がある。超てんちゃん……厳密にはあめちゃんは、すごくカッコつけた言い方をすれば「性格の悪さを越えた可愛さ・美しさ」を描きたく、その感情の元をたどれば坂口安吾の『夜長姫と耳男』に影響を受けているのですが、夜長姫を現代風に解釈する過程で、あまりにサブカルチャー・コンプレックス・インターネット文化などが入り混じり、もはや誰も原型なんてわからないであろうキャラクターとなりました。やったね。それはともかく、自分の中で一つの答えを出したことで、「美少女キャラクター」は、まあしばらくいいかな! と、そんな倦怠感があるのだ。


 そして、もう一つ。こちらの方が大きいかもしれない。「この美少女キャラクターと自分が横に並んだとき、果たして現実的に長続きする関係が成立するだろうか」と考えてしまう!


 まず、だいたいの美少女キャラクターとは歳が離れているわけで、それだけでリアルだと犯罪チックだし、話題とか趣味とか合わないだろ……と不安になる。別におっさんになる前から、特撮やロボアニメを繰り返し観る生活なわけで、いわゆる面倒くさいタイプのオタクなのだし、そこに年の差まで加わったら、コミュニケーションも生活スタイルも一致することはほぼ無い。明らかに向こうがこちらに合わせて疲弊してしまうだろう。そして、僕からヒロインへ生活スタイルを合わせるつもりは毛頭ない。好きな時に本を読んで、好きな時に映画を観たい……。


 そのうえ、年齢的に結婚も視野に入れる必要があり、その際に仕事は、お金は、引っ越しは……など、妙にリアルのことを想像する。なぜ? 自分でもわからない。きっと、こうして諸々の連載や企画に時間を割かねばならない今から逆算して、どれだけ恋人なる存在と向き合えるか想像し、これ無理かもな……と実感してしまうのだ。みんな気づけば美少女アニメのヒロインより「そのヒロインのお母さん」へ性欲を抱きだしていくのも、人妻相手の方がまだリアリティを感じるからではないか。なので、美少女アニメたちも、ヒロインをそのまま巨大化して胸を持ったデザインで「お母さん」を出してくれる。需要と供給なのだな……。僕はまだそこまでの年齢ではないが。


 加齢に伴い、現実がより解像度が高く見えるようになってしまった。「愛」や「恋」でどうにかならない範囲ってあるから……。いや、同棲したこともないのく今までも男女で暮らすという経験はないので、その大変さを知っているわけでもないけれども。


 別に十代や二十代前半の頃だって、それはそれで「金がない」「仕事もない」と障害はたくさんあった筈なのに! じゃあ、なんで若い頃は美少女キャラクターに対して「この娘と隣で歩いている僕」を想像できることができたのか、ずばりその根拠のない自身こそ若さそのもので、「愛」だったのでしょう。では、今の僕は愛を失ったのか? とはいえ趣味への探究心・感性がすり減った気はまったくしていない。じゃあどこへ消えたんだ……と思うと、ああ怪獣やヒーローだな……と「若さ」を通り越してオーバーフローを起こした結果、逆に「童心」へ戻ったんだとめちゃくちゃに納得したのです。

【ゴッドタランチュラ】

最新の戦隊での追加戦士のモチーフがタランチュラで、関連玩具もこのようにカッコいい蜘蛛だらけ。嬉しいぜ! 

このゴッドタランチュラは、裏返してガチャガチャ弄るとトランスフォーマーなようにスラっとした二本足のロボに変形するぞ。でも、そっちの形態にはあまり興味がないので、巨大な白い蜘蛛として机に置いて眺めている。

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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