第43回/本気で自慰をしよう

文字数 1,775文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


第1回はこちらから

 しかし、男にとっての性欲は生きる原動力と直結している。


 もちろん、このコンテンツに溢れた世界には自慰以外にも楽しいことはたくさんある。けれども、インスタントに、瞬間的に快楽を得るなら自慰が最も適している。そんな自慰のために時間が割けなくなったのであれば、それ以上に大切ななにかを「見つけちゃった」人だ。独りの時間よりも大切なものを。人間として正しい代わりに、原動力の一部が他者に向いてしまっているのだろう。


 が、自慰ってものは残酷なことに意外と飽きるのだ。三十路が近づくと、もう15年……人生の半分以上を自慰とともに過ごしている。さすがに分かってくる。「まあこんなものか」と。結果が想像できてしまうし、ふとした時に性欲に溺れて気持ちが掻き乱されないためのブレーキとして義務を果たしているだけになる。そんなんじゃつまらない。


 自慰そのものというより、オカズの刺激もあるはずです。先程も書いたけれども、もう15年ほどえっちなイラストレーションを保存し続けてきた。しかし、キャラクターが違うだけでシチュエーションはだいたい一緒だ。年々、美少女キャラクターの胸が大きくなったりほんのり傾向が変わっていくものの、すっごくざっくり言えば、純愛・寝取られ。そこを細かく分ければ、催眠・凌辱・おねショタ・人妻……と無数にわけられていくのですが、それだけでは15年も持たない。開拓をしていくべきだ。


 たとえば、ふたなりや男の娘、TS、スカトロ。要素が強すぎて「純愛」か「寝取られ」よりも先に表示されるくらいの大前提を変えていくべきだ。無論、15年もあれば、それらに何度もお世話になってきたこともある。というか若い頃なんて、リビドーを感じてしまえば、対象の性別や性器の形状なんて関係ない、なんでもアリですよ。「好みの顔しているうえに陰茎も生えているんだ。ラッキー☆」くらいの気持ちです。大らか。


 なのに、大人になるに連れて「惰性」が生じてあまり掘らなくなっていく。ここで言う「掘る」とはそういう意味ではない。もはや溜めに溜めてきた「えっちなモノ」貯金が多すぎて、思い出の中で閉じこもってサクッと自慰を済ますことも可能なのだ。逆に言えば、10代のときのように半日えっちなイラストレーションを漁るために費やすような情熱が無いのである。これがよくない。そりゃ自慰は長期的に見れば無駄な時間だ。その半日で読書や映画鑑賞を行えば、どことなく充実した一日を過ごせたつもりになれる。自慰で終わってしまうと、「終えた」瞬間、なんで僕はあんな時間を……と三井寿になってしまうのです。それが大人の男性にとってつらいのだ。


 これも逆なんだ! むしろ、自慰で何時間も潰せないくらい余裕のない生活であれば、そんな時間に追われて「消費」しかできない人生を歩んでいる方がダメなんだ。自慰に飽きて義務的に済ませてしまっているのであれば、一度腰を据えてあの頃の気持に戻って欲しい。「性器が2つもある!?」「あんなに生意気だった親友がある日女に!?」。あの驚きをまた発見しに行こう。世界には、たくさんの性的嗜好がある。TwitterやDLsiteのランキング上位はつねに素晴らしい作品が君臨している。しかし、それは大多数に「良い」とされている作品であって、アナタの嗜好の奥の奥の部分にガッチリハマるものである可能性は少ないでしょう。自分の劣情へ素直になって細かく感情を切り刻んでいけば、ネットの世界の奥底でしか見つからないものへたどり着くでしょう。なんならネットの世界にすらなくて、書籍やVHSでしか手に入らないことだってある。神保町を漁ることも必要かもしれない。それを知るために半日使う。その集中力が大切。それが仕事や作業なんかより感性を豊かにする。無いなら作るくらいの気持ちでいこう。自分を真に慰められるのは、自分だけしかいない。

【ティーカップとゴスロリのシャロちゃん】

料理を一切しないので、いっそのことコンロを潰してティーカップ置き場に。カフェインハイテンション。

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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