第24回/咳をしても一人

文字数 1,290文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


第1回はこちらから

 体調が悪い。


 また一人で一週間ほど旅行へ行き、その疲れがぐっと押し寄せて、数日経ったいまでもつねに眠気や倦怠感があります。楽しさと疲労はイコールなんですね。とはいえ、お優しい読者の皆様は気にしなくて大丈夫です。なぜなら、このコラム連載は掲載まで数週間のラグがあるので、アナタが読んでいる瞬間の僕はもう別のことで悩んでいるのだから。


 さて、こうなるとさすがに心細いし人恋しい。しかし「体調悪いから助けて〜」と他人に頼んだ経験がないので、どうしていいのかわからない。


 というより論理的には体調不良でわざわざ友達に頼る意味ってないんですよね。そもそも動けないほど苦しいなら救急車を呼ぶべきだし、怠いけれど身体が動くなら、自分で病院へ行くとか薬買ったりするわけで。そもそも睡眠がもっとも簡単な回復法なのだからとにかく眠ればいい。弱っている時に友人がいれば心強いかもしれませんが、それはあくまで精神面の話であって、根本的にはすべて自分だけで解決できる。


 といったことを考え、結局ひとりで居るわけです。さらに僕は問題をこうして独力で解決することを「カッコいい」とすら感じている。孤独に酔っているのだ。が、なんとこのカッコつけ方はもう卒業するべき。


 ともにゲームを製作したプロデューサーにも言われたんです。「人と居ることを練習するべきだよな」と。


 脳裏に電流が迸りましたね。「一人でまた旅したんですよ〜。やっぱり一人で旅行するほうが向いているかもです」と語ったときの反応がそれで、要は「その方が楽しいとしても他人とイベントを共有する経験をしようね」ってアドバイスなんです。そう、一人旅のほうが楽しいかどうかはともかく、それはそれとして他者とスケジュールや目的を調整しながら旅をする経験を積むべきなんだ。言われてみたらそうだ。楽しいだけが時間の使い方ではない。「みんなでなにかを体験すること」へ「挑戦」するべきなんです。


 これは盲点だった。では、いまこの状況もまた体験として、「さいきん身体が怠いんだけどさぁ〜」と友人・知人にSOSを出すべきだ。


 ……が、特になにもしていない。それでも未だに「呼んでどうするんだ?」と思ってしまっている。というか記事をかける程度には余裕があるので、別にコンビニなり薬局に行けばいい。いや、でもだからそういうことじゃなくて……。


 まあ、今回はこれでいいでしょう。冒頭で書いたとおり、恐らく来月の僕はまったく別のことで悩んでいるはず。慢性的な疲労感と併発しているかもですけどね。とりあえずこれでコラムを提出できるのでたっぷり眠ります。


 おやすみなさい。

【部屋の壁】


自室の壁に絵や蝶の標本を飾ってみたら、めちゃくちゃ良かったです。美術館みたいだね。自分が死んだから誰か僕の部屋を観光施設として開放してください。よろしくお願いします。

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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