第44回/X(旧Twitter)のこと

文字数 2,017文字

こちらはインターネットに生息するふしぎないきもの・にゃるらがインターネットと独り暮らしとそれ以外について深夜に執筆している画像付きエッセイです。→@nyalra


第1回はこちらから

 さまざまなメディアが、X(旧Twitter)と表記するようになり、なんだかんだみんな馴染んでいくものだなぁと感じる昨今、実は僕はこうして変化していくことを楽しんでいたりする。単純に、場が混沌としていく様は面白いし、なにかが変わっていくことは良いことだと思っている。たとえそれが悪い結果になったとしても。


 そもそも、Twitterの運営なんて元から弱っていく一方だったようです。どのみち広告や課金要素などを増やさなければ沈みゆく船。ユーザーが増えすぎた末、こうして商業主義の面が表に出るのも必然であったように感じる。諸行無常。自然の摂理に応じて物事の形が変化するのは当然なのだ。


 むしろ、ここまで「課金者用」だと分かりやすいのは線引きができて良いことじゃないか。ここから先のX(旧Twitter)はビジネスの場だ。アルゴリズムやトレンドに対応できる企業やクリエイターがどんどん青いバッジを胸に宣伝し、よくわからない偽ブランド品の広告がガンガン流れる。ここまではっきりすると、「自分の居場所じゃないな」と諦めもつく。ゲームをリリース後の僕は、ずるずるとタイムラインを眺めていた。が、最近は「自身の活動を投稿するだけにシフトしよう」と考えが固まった。こうしてコラムやエッセイを書いたら宣伝する。深夜になったらちょっとだけどうでもいい呟きをする。SNSへの向き合い方が定まってありがたい。


 すでにX(旧Twitter)も十年選手を超えている。ここまで煮詰まったうえで、それでも日本の企業はしがみつかねばらならない状況なら、課金によってビジネス要素を強化すると互いの利益となる。もちろん、その関係自体に不満があるユーザーも多いでしょうし、僕だって課金をするつもりはありませんが、まあなったものは仕方ない。自分で不特定が参加するサーバーを運営してみてわかった。たとえ住民から反感を買ったとて、仕方がないものは仕方がない。試行錯誤がなければ終わっていくだけだ。


 先日、ほとんどネットを利用しない人物と話した。彼は、「X(旧Twitter)になる前から、ツイートでユーザーの感情を増幅させて広告を回すための場所でしかない」と語る。フラットな目線で見れば、別に、X(旧Twitter)以前からただの感情増幅器でしかなったのだ。彼の発言は衝撃だった。薄々感じていたことを、それでもやはり自分が依存していた居場所を信じたかった甘えから、そこまで気づけなかったことを宣告されたのです。


 言葉の力は非常に強い。タイムラインで意見をつぶやくたび、自らが綴った言葉に反応が起きて自身の精神に刻まれていく。いいねやRT、リプライやフォロワー数の増減によって「感情」を操作される。彼は、「みんな言葉の力を舐めすぎている」と話した。その通りです。言葉は絶対に自分に跳ね返る。呪いにも祝福にもなる。そこを刺激されると、だんだん内容は極端になっていく。次第に依存度は強まり、強い言葉を読んで呟くためにタイムラインへ張り付く。広告はさらに回り、感情はみるみる固定化される。


 わかってはいたけれども怖かった。それでも習慣として続けるしかなかったし、人間関係上、生活に直結している部分すらあった。が、大きな改革のおかげで目が醒めました。ここは大人が巧みに宣伝方法を探って利用する場所で、商業主義についていけないならさっさと離れる、または使用用途を限定する必要がある。淡々と自分の活動だけを投稿するとかね。少なくとも、もう己の感情を書き込まなくたっていい。この世界の九割以上のことは自分とは無関係なんだ。そんなことへ言及し、どうでもいい場所で感情が増幅されて「呪い」となるのは勘弁願いたい。


 それでも、やはり、X(旧Twitter)は企業や作家の宣伝の場として適しているだろうし、ユーザーも情報を追うだけならとても便利なサービスであるでしょう。どんどん、その用途に特化していってるんだし。それだけでいいんだ。ここに感情は必要ない。どうせ、本当に伝えたいことはツイートなんかにするべきでなかったのだ。なので、こうして長文でコラムを書ける場を提供してもらっていることはありがたい。これからの僕は、もっと自分が直感した感情を大切にしていきたい。、X(旧Twitter)のことは嫌いじゃないが、感情までX(旧Twitter)に渡すつもりはない。

【おにまいのぬいぐるみ】

おにまいは2話が大好きです。お兄ちゃんと妹のふたりだけの世界で、そして背徳感と兄妹愛に満ちていて、何度も何度も繰り返しています。3話以降は人がたくさん増えるので2回ずつしか観ていません。

来週も月曜深夜に更新予定です。それでは、おやすみなさい。

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