『バムとケロのにちようび』/島田ゆか

文字数 1,873文字

イラスト/国樹由香
保護犬と暮らす、漫画家の国樹由香さんが、そのあふれんばかりのわんこ愛をそそぎ、紡いでくださる大好評連載「いつも犬(きみ)がいた」

同業のパートナー、喜国雅彦さんとの共著『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』第17回本格ミステリ大賞受賞をしている国樹さんが、「犬の出てくる面白い本」をネタバレなしで紹介してくださいます!

大好評連載の第46回目は、島田ゆかさん『バムとケロのにちようび』です!

 もう3月だというのに、毎日寒いですね。我が家の愛犬が丸くなって眠るうちは本当の春ではないと判断しています(我が家ルール)。
 しかも悲しいニュースが続いたりで、ちょっと気持ちもふさぎがち。先人の言葉「冬来たりなば春遠からじ」を信じ、元気に過ごしたい今日この頃です。

 と言いつつも外は雨。止まらない雨音を聞いていたら、ひたすら可愛くて楽しい本をおすすめしたくなりました。というわけで今回は島田ゆかさん作『バムとケロのにちようび』(文溪堂)をご紹介します。

 犬のバムとカエルのケロの日常を描いたシリーズ絵本で、長年に渡り子どもたちはもちろんのこと、大人にも支持され続けています。まだ読んだことがないという皆さま向けに、1作目を選びました。

「こんな あめのにちようびは
サッカーも すなあそびも できない」

 バムの1人語りです。こんなふうに始まるのも、今現在の心境にぴったりすぎて。雨ってゆううつになりますよね。
 退屈そうに窓辺から外を見ているバムに対し、ケロは雨をものともせず楽しそうに外で遊んでいる絵が。この冒頭のシーンだけでもバムとケロの性格の違いがよくわかります。

 バムは「ほんを よもう」と考えるのですが、リビングはケロが散らかして大変な状況。まずはこれを綺麗にしてからおやつを作り、ゆっくり読書をしようと計画するバム。さて、計画は上手く行くのでしょうか。

 実は国樹の最大の趣味は掃除です。絵を描くのも読書も音楽鑑賞も運動も大好きだけれど「すぐに結果が出るのに充実感がものすごい」掃除は、何よりの気分転換になるのでした。
 気分転換は犬なんじゃないかって? その通りなのですが、掃除においては天敵となります。抜け毛攻撃を援護してくれるルンバがいなければ心折れていましたね。

 話がそれました。掃除が大好きな国樹なので、バムがガンガン掃除をするシーンには本気で胸が躍りました。
 更に島田ゆかさんの描くインテリアが最高で、ソファーの色といい、クッションやカーペットの柄といい、壁に飾られた数々の額といい、どれも本当に可愛いのです。

 そのセンスのよさは全部屋に及んでおり、バスルームもキッチンも参考にしたい素敵さ。
 本好きにはたまらないハシゴのかかった本棚も出てきますが、このシーンには想像を超えるびっくりが隠されていますので、未読のかたは心してお読みください。

 画面のすみずみにまで楽しさが詰まったバムとケロのシリーズ。何度も読み返すたび、気付かなかった「可愛いもの」を発見出来る宝探しのような本です。春を待ちわびる午後に、おやつを食べながら楽しみましょう。
イラスト/国樹由香

国樹 由香(クニキ ユカ)

漫画描き。近年はエッセイも手がけている。ミステリとメタルと空手と犬が大好き。代表作に『こたくんとおひるね』『しばちゃん。』『犬と一緒に乗る舟』など。講談社文庫では、共著のメフィストの漫画』などがある。2021年、極真空手参段に昇段。メタルDJもこなす。2017年に『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』(喜国 雅彦と共著)で第17回本格ミステリ大賞受賞。


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国樹さんちの愛犬の愛くるしいスナップ! 手をつないでる…⁉

金時(きんとき)

黒白のMIX犬/甘えん坊なシャイボーイ(現在は守護天使)


柑奈(かんな)

茶色のMIX犬/10歳/自由に生きるおてんば姫


見つめあう白黒犬の金時(現在は守護天使)と、茶犬の柑奈ちゃん(現在は10歳)。ソファーの上には抜け毛が。換毛期は1日に何回も掃除機をかけますが、追いつきません



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