『犬と一緒に生き残る防災BOOK』/犬防災編集部 ・編
文字数 1,990文字
同業のパートナー、喜国雅彦さんとの共著『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』で第17回本格ミステリ大賞受賞をしている国樹さんが、「犬の出てくる面白い本」をネタバレなしで紹介してくださいます!
大好評連載の第42回目は、犬防災編集部編の『決定版 犬と一緒に生き残る防災BOOK 』です!
新しい年になりました。皆さま、この1年も『いつも犬がいた』をどうぞよろしくお願いいたします。
この連載のテーマが「出てくる犬が絶対に死なない本を紹介する」ということは、皆さまご存知でいてくださると思います。だからこそ悩んだのですが、スルーは無理なので書きます。
我が家の黒白犬、金時が昨年の12月30日に空の住人となりました。11歳。
1年前に生まれつき不調のあった両足を脱臼し手術を。リハビリをさんざん頑張ったけれど歩けなくなり、晩年は寝たきりに。16キロあった体重も、12キロまで落ちました。
でも金時は旅立った12月30日までは元気だったんです。ごはんもよく食べ、キラキラした瞳は視力も問題なく、要求があれば鳴いて人間を呼びます。12月のあたたかい日にはお風呂にも入れたし、連れ合いの故郷である四国へロングドライブも出来ました。
普段は自宅で仕事をしている我々夫婦ですが、年末はお出かけが多かったため、うちの犬たちだけでお留守番をさせる機会も増えました。そのときも全然問題なく。久々に家族全員(2人と2匹)が、家でゆっくりという日に容態急変となったのです。
とことん介護したと言い切れるくらい、金時に向き合った1年でした。なので後悔はありませんし、特に最期の瞬間を看取れたこと、金時に感謝の気持ちしかありません。12/31が葬儀で、悲しいことを昨年のうちに終わらせてくれた。なんてすごい犬なんだろうと。
なのに、こんなにも寂しいのはなんなのでしょうか。守護天使となった犬の存在感。見ると辛いから、金時を寝かせていたドッグベッドや介護用品はすぐさま片付けました。その空間が広すぎてならないのです。
そんな気持ちを抱えていた矢先、衝撃的な大震災が起こりました。新年早々の悲しすぎる出来事。凹んでいる場合ではないと自分の気持ちを立て直し、今回ご紹介する『犬と一緒に生き残る防災BOOK』(日東書院本社)を大急ぎで購入し、読んだのです。
過去にもこういった系の本は何冊か読んだことがありますが、コロナ禍においての避難についてまで書いてあるのが新しい。
さまざまな状況を想定し、可愛いイラストでわかりやすく説明してくださっています。パニックを起こした犬はどんなに慣れていても噛むことがあるから口輪があったほうがいいとか、被災した場合犬のフードは後回しになるから多めにストックしておくべきとか。
犬連れ避難についての本ではありますが、どなたが読んでも大変ためになることは間違いない充実の内容でした。同じシリーズで「猫」「鳥」などもあり、ご家庭に1冊あれば安心かと。
我が家の金時が寝たきりになったときに「もしも今、大地震が起きたらどうやって連れて逃げよう」とよく考えたものです。そんな不安を抱える皆さまに、特におすすめしたく思います。物言わぬ大切な家族のために是非。
「イラストは新年用に使う予定だったものです。今回の本とは無関係ですが、こちらに載せさせてください。元気な金時と柑奈ちゃん」
漫画描き。近年はエッセイも手がけている。ミステリとメタルと空手と犬が大好き。代表作に『こたくんとおひるね』『しばちゃん。』『犬と一緒に乗る舟』など。講談社文庫では、共著の『メフィストの漫画』などがある。2021年、極真空手参段に昇段。メタルDJもこなす。2017年に『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド』(喜国 雅彦と共著)で第17回本格ミステリ大賞受賞。
公式X(旧ツイッター)→https://twitter.com/kunikikuni
公式インスタグラム→https://www.instagram.com/kunikikuni/
★国樹さんちの愛犬がLINEスタンプになりました!
[MIX犬のきんとき&かんな]
https://line.me/S/sticker/23611465/?lang=ja&utm_source=gnsh_stickerDetail
黒白のMIX犬/11歳でお空に/甘えん坊なシャイボーイ
「永遠の家族だよ、金時」
茶色のMIX犬/10歳になりました/自由に生きるおてんば姫
「今日の娘さん。いてくれて、ありがとう」