魔女のパフェ友()
「まだぁ?」
私()が
作()るいちごパフェをまつ
妹()のとこはかわいい。いつもは
生意気()な五
歳児()なのに。
「もうすぐだよ。お
待()ち!」
ききなれない
声()?
誰()?
テーブルへ
目()をやった
私()は、
真()っ
青()になった。
とこの
隣()に
魔女()がいた。ほうきのかわりにスプーンをにぎって。
しわだらけの
顔()、たれさがった
鼻()。
目()がつりあがっているというか
怖()い。
「とこ、こっちきて!」
「どうして?」
とこは
首()をかしげた。
「ど、どこから
入()ってきたの? ドアは
鍵()かけてるし、ここは十
階()よ。やだ、
本物()? えーっ!」
とこに
来()いと
手()をふりながら、
私()はパニックだ。
「ほうきで、
窓()から
来()たんだよ。とこのパフェ
食()べるぞ! って
気持()ちに
魔女()のレーダーがピピッと
反応()したんだよねぇ」
「ああ。ほわほわのわくわくのどきどきのあまあまの、うれしいって
気持()ちがこの
家()の
窓()からにじみだしててさ。あ、いちごパフェだって
私()もわかったよ」
とこと
魔女()は、ねぇとうなずきあう。
「だ、だからって、
他人()の
家()に
勝手()に
入()ってパフェ
食()べようなんて
図々()しい!
誰()も
招待()していません!」
「なら、
招待()しておくれ、
大好物()なんだ」
「うん。ご
招待()してあげる」
「とこ!」
「いいでしょ。お
姉()ちゃんの
作()るいちごパフェ、おいしいんだよ。
今日()は
特()におじいちゃんちから
届()いたいちごを
使()うんだよ」
「いいねぇ。ご
馳走()しておくれよ。
何()もいいことないしさ。
楽()しいこともないし、
哀()れな
年寄()に
優()しくしてくれたっていいじゃないか」
「
優()しくするって――。
魔女()でしょ」
「
魔女()にだって
何()にだって、こんな
時()はまんべんなく
優()しくするもんだろ」
「そうだよ。みんなでまんべんなく
助()けあうんだよねぇ」
魔女()ととこはまたうなずきあう。
これでは
言()い
負()かされてしまう。さっさと
食()べさせて
帰()ってもらうしかない。
あわてて
作()ったいちごパフェを、とこと
魔女()と
私()で
食()べる。
魔女()がいてもおいしいものはおいしい。
魔女()の
目()が
急速()にたれさがった。
優()しい
顔()になった。
「おいしかった。お
姉()ちゃんは
大()きくなったらいちごパフェ
屋()さんになるんだよ」
「
毎日()通()うよ」
「
結構()です!」
「
通()うよ。パフェ
友()じゃないか」
魔女()がにやりと
笑()う。
「パフェ
友()!」
とこがうれしそうに
叫()んだ。
魔女()は
窓()からほうきに
乗()って
帰()っていった。
こんな
時()だからまんべんなく
優()しくするもんだって、
魔女()がいった。そうだよなぁと
思()う。でも、いくらパフェ
友()だからって、
「ごちそうになりますぅ」
今日()、とこのとなりでスプーンをにぎっているのは
幽霊()だ。
柏葉幸子(かしわば・さちこ)
1953
年()、
岩手()県()生()まれ。『
霧()のむこうのふしぎな
町()』で、
第()15
回()講談社()児童()文学()新人賞()日本()児童()文学者()協会()新人賞()受賞()。『ミラクル・ファミリー』で、
第()45
回()産経()児童()出版()文化賞()フジテレビ
賞受賞()。『
牡丹()さんの
不思議()な
毎日()』で、
第()54
回()産経()児童()出版()文化賞()受賞()。『つづきの
図書館()』で、
第()59
回()小学館()児童()出版()文化賞()大賞受賞()。『
岬()のマヨイガ』で、
第()54
回()野間()児童()文芸賞()受賞()。
【
近刊()】