(12)今村翔吾【真田信之】

文字数 638文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

今村翔吾(いまむら・しょうご)さん


──1984年京都府生まれ。2016年「蹴れ、彦五郎」で伊豆文学賞を受賞しデビュー。18年『童の神』で第10回角川春樹小説賞、『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で第7回歴史時代作家クラブ賞文庫書き下ろし新人賞、20年『八本目の槍』で吉川英治文学新人賞、『じんかん』で第11回山田風太郎賞受賞。

【わたしの好きな戦国武将】


真田信之

真田家といえばやはり、真田幸村(信繁)の名を真っ先に思い浮かべる人が多いだろう。次点として挙げられるのは「表裏比興の者」と呼ばれ、二度に亘って徳川家の大軍勢をはね除けた昌幸ではないか。ただ私はこの昌幸の長男にして、幸村の兄である信之に最も心惹かれる。彼は関ヶ原で父弟と別れて東軍に付き、真田家の命脈を保ったのだ。


そして信之は父の死後四十七年、弟の死から四十三年後、九十三歳で大往生を遂げる。上田城合戦、大坂の陣での活躍は確かに華々しいかもしれない。だが後半生ずっと続いた、信之の静かなる戦いのほうが余程難しかったように思える。


信之は死の淵で何を考えていたのか。今後の真田家を憂いていたのか。それともほっと安堵に胸を撫でおろしていたのか。遥か昔の記憶になった父や弟に話しかけていたのか。私も長男であることもあり、小説家として実に興味がそそられる。

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