(75)浅生鴨【松永久秀】

文字数 663文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

浅生 鴨(あそう・かも)さん


──1971年兵庫県生まれ。2013年に「群像」で発表した初の短編小説「エビくん」は注目を集め、日本文藝家協会編『文学2014』に収録された。著者に『中の人などいない』『アグニオン』『猫たちの色メガネ』『伴走者』など。

【わたしの好きな戦国武将】


松永久秀

自分自身がダメ人間だからか、戦国武将もやっぱりダメな人に惹かれる。史実より物語の面白さを好む僕としては、久秀のデタラメなエピソードを聞けば聞くほど気になっていく。


主家を乗っ取り、さらに将軍の暗殺を企てる話もいいが、何よりも信長を二度も裏切るのがいい。戦も上手く茶人としても優れているのに、その忠誠心のなさ、露骨な野望、ころころ変わるスタンス、そして運の悪さがたまらない。


せっかく許されたのに、なぜまた裏切るのか。ちゃんと考えているのかよと心配になる。戦国武将というロッカーの集まるステージにふらっと紛れ込んでアドリブを始めるジャズマンかよ。しかも、もう一度許す条件として求められた茶釜だけは信長に渡したくないからと、その茶釜に火薬を詰めて爆死したなんてエピソードが後につくられるほどだから、もはや生き方がアートなのだ。


もしかすると僕は久秀のそんな生き方に憧れているのかもしれない。なんだかそんな気がしている。

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色