(92)鈴木英治【今川義元・氏真】

文字数 696文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

鈴木英治(すずき・えいじ)さん


──1960年静岡県生まれ。99年「駿府に吹く風」で第1回角川春樹小説賞特別賞を受賞し、翌2000年改題した『義元謀殺』でデビュー。著書に「口入屋用心棒」「新兵衛捕物御用」「父子十手捕物日記」シリーズなど多数。近著に『口入屋用心棒(47)猿兄弟の絆』。

【わたしの好きな戦国武将】


今川義元・氏真

二十年以上前、私が『義元謀殺』でデビューした頃、今川義元、氏真父子の評価は著しく低かった。義元は短足で馬に乗れない公家大名と蔑まれていた。だが実際には織田信秀や北条氏康といった難敵と互角以上に戦い、後に武田家、北条家と同盟を結んで今川家の最盛期を現出した。もし桶狭間の戦いの相手が織田信長でなかったら義元は勝利を得、今川家の勢力はさらに西へ延びていただろう。


強大だった今川家を滅亡に導いたことで氏真は戦国三大愚人の一人とされているが、信長よりも早く楽市を領内で行っている。剣術と蹴鞠の達人で、身体能力は抜群だった。遠江掛川城の籠城戦では徳川家康を相手に五ヵ月のあいだ戦い抜き、ついに和睦に持ち込んだ。その後、駿河の大平城で武田勢に包囲された際も一年三ヵ月もの籠城戦に耐えた。


もし義元が桶狭間で勝利していたら、当時二十三だった氏真は父から様々なことを学ぶことができ、名将になっていたかもしれない。別の人生が待っていたのはまちがいない。

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