(86)鳴神響一【伊達政宗】
文字数 690文字
現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。
激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!
鳴神響一(なるかみ・きょういち)さん
──1962年東京都生まれ。2014年『私が愛したサムライの娘』で第6回角川春樹小説賞を受賞しデビュー。同作で15年に第3回野村胡堂文学賞を受賞。著書に「脳科学捜査官 真田夏希」「おいらん若君 徳川竜之進」シリーズなど多数。近著に『刑事特捜隊「お客さま」相談係伊達政鷹』。
【わたしの好きな戦国武将】
伊達政宗
戦国随一の名優。演技派のワルですよね。可憐な梵天丸の幼少期から梟雄としての壮年期、山岡荘八『一つ目達磨』が描くとぼけた晩年まで、後世、ドラマの主人公となるために生を受けた武将なのかなと思ってしまいます。
小田原参陣のときの磔柱や葛西大崎一揆の鶺鴒の花押など、芝居がかった逸話の数々は、どこまで史実かは別として、作家心をくすぐります。
冒険家ビスカイノらにサン・ファン・バウティスタ号を建造させ、ルイス・ソテロを正使に支倉常長を副使に立て、スペイン国王フェリペ三世とローマ教皇パウロ五世のもとに遣わした慶長遣欧使節もド派手。
〈国王〉をそそのかし、スペイン軍を迎えて天下を取ろうとしたという眉唾話はともあれ、慶長三陸地震の大津波で疲弊した領国を救うためにスペインと交易を開こうとした逸話には、ワールドワイドな名君としての横顔も感じます。
いつか、副葬品として残された黄金製のロザリオから物語を始めてみたいです。