(32)帚木蓬生【高山ジュスト右近】
文字数 648文字
現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。
激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!
帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)さん
──1947年生まれ。93年『三たびの海峡』で第14回吉川英治文学新人賞、95年『閉鎖病棟』で第8回山本周五郎賞、97年『逃亡』で第10回柴田錬三郎賞、2018年『守教』で第52回吉川英治文学賞、第24回中山義秀文学賞を受賞ほか、著書・受賞多数。
【わたしの好きな戦国武将】
高山右近
胸を打つ崇高な生涯を送った戦国武将といえば、拙著『守教』にも登場させた高山右近だろう。父ダリオ飛驒守の継嗣として、十三歳で受洗、二十二歳で高槻城主になると、天主堂やセミナリヨを建設し、領民の七割がキリスト教に回心、巡察使ヴァリニャーノを迎えては盛大な復活祭を催し、死んだ貧民の棺を自ら父とともに担いだ。本能寺の変後の山崎の戦いでは先陣を秀吉に申し出て、手勢一千余で明智光秀の軍勢一万五千を攻めて敗走させ、さらに残党のいる坂本城、光秀の居城丹波亀山城でも先陣を切った。黒田官兵衛や蒲生氏郷、小西行長をも入信に導き、茶人としては利休七哲のひとりとして前田利家の信頼も厚く、秀吉から棄教か放逐を迫られ、播磨・明石六万石を潔く捨てた右近を引き取ったのも利家だった。しかし家康によって国外追放を命じられ、長崎から小船でマニラに至り、死去する。享年六十四。