(9)宮下英樹【毛利元就】

文字数 723文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

宮下英樹(みやした・ひでき)さん


──1976年石川県生まれ。漫画家。2001年「春の手紙」で第44回ちばてつや賞大賞を受賞しデビュー。著書に人気シリーズ「センゴク」など。

【わたしの好きな戦国武将】


毛利元就

過去に「好きな戦国武将」を聞かれた中で毛利元就をあげることはなかったのですが、戦国時代漫画の連載で色んな武将・大名を描いた中で最も〝描きやすかった大名〟が元就です。


大概新しい大名を描くときは休載期間を利用して事前に調べるのですが、元就の時だけは、たまたま打ち合わせの成り行きで元就編を挿入することになり、事前調査なしに元就の話を描くことになりました。


当然、史料を読み込んで人物像を作ることは出来ず、謀略家イメージを元に、その場しのぎの如く、【善人のフリして、自分の思う方向に事を運んでゆく〝僕自身〟の下劣な部分】を膨らませて描いたところが、実に描きやすかったのです。それは他者が自分に迷惑をかけた時に、寧ろ相手の方を気遣うことで善人を装い、かつ、【良心の呵責につけこんで懐に取り込んでしまおう】という人物像です(当然誇張)。


最後に元就の人物像を顕わしている「三子教訓状」の最も好きな処は、【自分は健気者でなく、知恵才覚も人を越えず、正直正道の者でもなく、神仏の御加護もない】【何のとりえもないのに〝何故か〟乱世をすり抜けることが出来た】。僕は自身の成功に対して「何故だかわからない」という人を信用します。「わからない」という人ほど「常に考えてる人」だからです。

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