(53)平岡陽明【黒田孝高】

文字数 600文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

平岡陽明(ひらおか・ようめい)さん


──1977年生まれ。2013年『松田さんの181日』で第93回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『ライオンズ、1958。』『ロス男』など。近著に『ぼくもだよ。─神楽坂の奇跡の木曜日』。

【わたしの好きな戦国武将】


黒田孝高

もともと張良や諸葛亮といった軍師タイプが好きなのだが、日本史にそれを求めるなら孝高だ。信長、秀吉、家康の天下獲りを見抜いた戦国一の知性である。秀吉の孝高評はこうだ。「心は剛健で、よく人に任せ、度量が広く、思慮は深く、天下に比類がない。つまらぬ大名と親交を結んで偉ぶるような真似をせず、才智ある者とは交わりを結ぶ。卑賤の者にも礼を欠かさない。あれが本気になれば、わしの天下も獲られてしまうだろう」


孝高は晩年のエピソードもいい。粗末な庵に住んで近所の童と遊び、家中に倹約を説いた。罪人も容易に殺さず、不器用だが廉直の士に褒美を与えた。見事な大岡裁きも多い。孝高が亡くなった時は、農夫に至るまで国じゅうが嘆いたそうだ。孝高の言動を見ていると、近代人の孤独とインテリジェンスすら感じる。第一等の人物だろう。

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