(100)佐藤賢一【毛利元就】

文字数 683文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

佐藤賢一(さとう・けんいち)さん


──1968年山形県生まれ。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。99年『王妃の離婚』で第121回直木賞を受賞。2014年『小説フランス革命』(単行本全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を受賞。近著に『ナポレオン』(単行本全3冊)。

【わたしの好きな戦国武将】


毛利元就

なぜ好きかといえば、実力ナンバーワンだと思うから。安芸の国人領主から一代で中国十ヵ国の覇者になる──これは凄い。現代に譬えれば村長から始めて、地方ブロックというか、道州の知事になったようなものだ。大抵の戦国大名は市長くらいからで、スタートが恵まれている。戦う相手も市長や県知事なので、一度勝てば版図も一気に大きくなる。毛利元就も途中からは加速度的に大きくなったが、それまでは小さく積み重ねなければならなかった。この調子では普通は一県、二県止まりなところ、道州まで手に入れたのだ。


もうひとついえば、やり方がまっとうだ。調略に婚姻政策、いざ戦というときの判断、そして決断──まさに戦国大名の常道で勝ち抜いた。特別な兵器、神がかりな戦い、異様な実力人事、そうした奇道奇策に頼らないから、無理がない。おかげで子や家臣にも、しんどい感がない。オーソドックスで通用したのは、やはり図抜けた実力のゆえなのだ。

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