(89)青柳碧人【藤堂高虎】
文字数 573文字
現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。
激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!
青柳碧人(あおやぎ・あいと)さん
──1980年千葉県生まれ。『浜村渚の計算ノート』で第3回「講談社Birth」小説部門を受賞しデビュー。2020年本屋大賞ノミネート作品『むかしむかしあるところに、死体がありました。』など著作多数。
【わたしの好きな戦国武将】
藤堂高虎
もう十二年ほど前から、折を見つけて「日本100名城」を回っている。愛媛県の今治城を訪れたのは九年前くらいだっただろうか。町の中にある整然とした石垣のたたずまいもさることながら、海の水をそのまま引き入れた堀に、心を奪われる思いだった。あまり事前情報を得ずに訪れたのだが、よくよく調べてみると築城の名手として名高い藤堂高虎の手によるものだということだった。高虎の名を意識するようになったのはそれからだった。
宇和島城、篠山城、津城……あるときは住まい、あるときは役所、そして戦の時はもちろん軍事施設となる城という建造物が壮大な記念碑であることは間違いない。全国各地に自らその記念碑を残して回った藤堂高虎こそ、戦国時代を象徴する武将と言っていいだろう。