(19)五十嵐律人【伊達稙宗】
文字数 608文字
現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。
激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!
五十嵐律人(いがらし・りつと)さん
──1990年岩手県生まれ。東北大学法学部卒業。司法試験合格。『法廷遊戯』で第62回メフィスト賞を受賞しデビュー。
【わたしの好きな戦国武将】
伊達稙宗
伊達政宗ではなく、曾祖父の伊達稙宗である。
怒号と弓矢が飛び交う迫力ある合戦シーンを大河ドラマで見たときに、ふと思った。敵味方が入り乱れる戦場では、同士討ちが多発していただろうなと。復讐が復讐を呼べば、国は滅びかねない。そんな同士討ちも討死同然だとみなしたのが、伊達稙宗だ。
陸奥国を支配していた稙宗は、約百七十条からなる最大規模の分国法である「塵芥集」を制定して、日常生活から刑事事件に至るまで、数多くのルールを定めた。借金に関するものや、落とし物に関するものもあったらしいので、ちり(塵)・あくた(芥)の些末なルールまで集めたと評価されているのも頷ける。
ところで、群雄割拠の戦国時代には、乱立した国の情勢に応じたバラエティ豊かな法律が制定されていたはずだ。その内容と各国が辿った栄枯盛衰を見比べれば、在るべき統治の姿が見えてくるかもしれない。現代の法律が、理想的なルールと呼べるものなのか否かも。