(54)泉ゆたか【伊達政宗】

文字数 672文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

泉ゆたか(いずみ・ゆたか)さん


──1982年神奈川県生まれ。2016年に『お師匠さま、整いました!』で第11回小説現代長編新人賞を受賞し、翌年デビュー。『髪結百花』で第1回日本歴史時代作家協会賞新人賞、第2回細谷正充賞を受賞。最新作は『雨あがり お江戸縁切り帖』。

【わたしの好きな戦国武将】


伊達政宗

現存するだけでも千以上の自筆の手紙があり、筆まめな武将として知られる伊達政宗。仮名交じりで柔らかい言葉を選ぶ彼の手紙には、正直でまっすぐな気持ちが綴られています。


私のお気に入りは、文禄の役での朝鮮出兵中に岩出山の母へ送った手紙です。


母から届いた三両のお小遣いを心から喜び、「此国の物、何にても進上申したく候て、おどりたちはねあがりたづねまはり候へ共」と、お返しに贈るお土産を「おどりたちはねあがり」探し回ろうとします。日持ちする名産品を探すことができなかった政宗は、渋々その地の木綿織を贈ることに決めると、日本のものより綺麗だと書きながら、「日本のははるかに見申さず候間、けくにまし申し候や、存ぜず候」(比べようがないので確かとは言えないが、たぶん……)と、照れ隠しの言葉を添えます。


伊達政宗の手紙を読むと、武将であっても私たちと同じように、大事な人との触れ合いに心の揺れる存在だったと知って嬉しくなります。

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