(30)木下昌輝【岡部元信】

文字数 688文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

木下昌輝(きのした・まさき)さん


──1974年奈良県生まれ。2012年『宇喜多の捨て嫁』で第92回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。15年、同作で第4回歴史時代作家クラブ賞、第9回舟橋聖一文学賞、第2回高校生直木賞を受賞。20年『まむし三代記』で第26回中山義秀文学賞を受賞。近著に『戀童夢幻』。

【わたしの好きな戦国武将】


岡部元信

「男の価値は負けた時にわかる」ある作家さんがおっしゃっていた言葉、まさに至言だな、と。十年以上前のことで、男と限定しているところは当時の空気感ということでご寛恕を。


負けて輝く武将として見つけたのが、今川義元の家臣の岡部元信だ。桶狭間の合戦で鳴海城を守るも、総大将の今川義元は討ち死に。徳川家康らが次々と退却していく中、ひとり鳴海城で織田軍と戦い続けた。てこずった信長は、義元の首の返却と鳴海城開城を条件に和議を締結。元信は主君の首を持って今川領に戻る途中、信長と同盟していた水野家の城を夜襲で攻め落とすというとんでもないことをしている。武田信玄も、元信の働きを絶賛したらしい。ちなみに冒頭の作家さんの言葉はこう続く。「負けた時にどう立ち上がるかが一番、大切」元信は立ち上がるどころか、強烈なカウンターパンチを喰らわせた。負けて輝く武将は真田幸村など何人かいるが、負け戦の風景を変えた男は元信しかいないだろう。

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