(18)伊東潤【北条早雲】

文字数 632文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

伊東 潤(いとう・じゅん)さん


──1960年神奈川県生まれ。2007年『武田家滅亡』でデビュー。13年『国を蹴った男』で第34回吉川英治文学新人賞、『義烈千秋 天狗党西へ』で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、『巨鯨の海』で第4回山田風太郎賞受賞。近著は『もっこすの城 熊本築城始末』。

【わたしの好きな戦国武将】


北条早雲

最新研究の成果により、伊勢の素浪人から下剋上を成し遂げた武将というイメージを払拭した北条早雲だが、いまだ多くの戦国大名の中の一人という認識からは脱せられていない。確かに早雲が己の理想を語ったものは一次史料として残されてはいないが、早雲が東国に静謐(平和)をもたらすべく、私利私欲の戦いに明け暮れる守旧勢力の一掃を目指していたことは紛れもない事実だ。


早雲の掲げた理想は後継者たちに引き継がれ、北条氏は関東に覇を唱えるまでになる。東国に全く地盤がないにもかかわらず、北条氏が関東の大半を支配下に収めたのは、こうした大義を掲げ、それを五代にわたって貫いたからにほかならない。まさに早雲と北条氏は、現代の企業にも通じるビジョナリー・カンパニーの魁だった。


私は希代のビジョナリスト早雲こそ、最も優れた戦国大名だと思う。

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色