(21)遠田潤子【大谷吉継】
文字数 606文字
現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。
激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!
遠田潤子(とおだ・じゅんこ)さん
──1966年大阪府生まれ。2009年『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。『ドライブインまほろば』『銀花の蔵』など。近著に『雨の中の涙のように』。
【わたしの好きな戦国武将】
大谷吉継
大谷吉継は私の理想の男である。勝手に惚れている。失礼を承知で、自作に小ネタとして登場させたこともある。「義」という言葉は、この男のためにあるのではないかと思っているくらいだ。
関ヶ原の戦の前、彼は挙兵しようとする三成を何度も止めたという。だが、三成の決心が固いことを知ると、友情に応えるために病を押して参戦した。眼はほとんど見えておらず、輿に乗っていたと言われる。
以前、関ヶ原巡りをした際、陣跡と墓所を訪れた。彼の墓はひっそりと山の中にあり、他に参る人もなくあたりは静かで美しかった。彼はここでなにを思って戦い、なにを思って死んでいったのかと思うと、胸が締め付けられるような気がした。
胡散臭い大義名分のためではなく、あくまで自分自身の「義」のために、負けるとわかっている戦に臨む。こんなに篤くて熱い男がいるだろうか。本当に最高の男です。