(85)花房観音【豊臣秀吉】

文字数 636文字

現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。

激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!

花房観音(はなぶさ・かんのん)さん


──1971年兵庫県生まれ。2010年『花祀り』で第1回団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。著書に『女坂』『楽園』『好色入道』など多数。近著に『京都に女王と呼ばれた作家がいた』。

【わたしの好きな戦国武将】


豊臣秀吉

中学校の卒業文集で「好きな異性」の欄に、「織田信長」と書いたのは、大河ドラマ『徳川家康』の中で役所広司演じる信長の本能寺の変のカッコよさにしびれたからだ。それから私の男遍歴ならぬ戦国武将遍歴がはじまり、明智光秀、島左近、大谷吉継、真田幸村、斎藤道三など、いずれにせよ、生き様がかっこいい武将たちが好きだった。


しかし今、一番好きな戦国武将はと問われ考えたときに浮かんだのは、豊臣秀吉だ。身分が低い劣等感ゆえか十代の若い娘たちを侍らせる「ロリコンおっさん」ぶりや、千利休の首を一条戻り橋で利休の木像に踏ませる残虐ないやらしさ、甥の秀次の三十九人の妻子を三条河原で見せしめに斬殺したり、二度の朝鮮出兵など、秀吉は本当にみっともない男だ。潔くなさ、悪趣味なほどの成金趣味など、英雄やカッコよさとはほど遠い剝き出しのあさましさ卑しさが、老いるほどに欲望に執着している自分は、他人事とは思えず惹かれるのだ。

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色