(77)深町秋生【最上義光】
文字数 670文字
現代を代表する作家・漫画家・学者・舞台で活躍する芸人やタレントの方たちに、好きな戦国武将のアンケート調査を実施いたしました。
激動の令和において、人気のある武将は果たしてだれなのか?!
深町秋生(ふかまち・あきお)さん
──1975年山形県生まれ。2004年『果てしなき渇き』で第3回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。著書に『アウトバーン』に始まる「八神瑛子」シリーズ、『卑怯者の流儀』『探偵は女手ひとつ』など多数。近著に『煉獄の獅子たち』。
【わたしの好きな戦国武将】
最上義光
そりゃ山形人の私としては、郷土の英雄である最上義光を推すしかあるまい。最終的には五十七万石の大大名に出世した東北の雄なのだけど、全国区の知名度を誇る甥っ子の伊達政宗の華やかさの前にだいぶ霞んでしまう。
そもそも、名前をきちんと読んでもらえない。ひんぱんに間違われる。最上義光と書いて「もがみよしあき」なのだと、山形人がいくら声を張り上げても、「もがみよしみつ」と読まれる始末。最近でも、あるマンガが思いっきり「よしみつ」とルビを振っていた。校閲の仕事ぶりが精密と評判の版元から出たのに。
「北の関ヶ原」といわれた慶長出羽合戦では、大軍を率いた西軍・上杉勢を率いる直江兼続&前田慶次郎という戦国の大スターたちを少数の兵で撃退したのだから、もっと称えられていいはずなのだけれど、すごい数字をたたき出した大河ドラマ『独眼竜政宗』の影響があるのか、謀略家とか「羽州の狐」とか暗いイメージがつきまとうのだった。