第7回 資産増やすならこのアプリ(※案件じゃないよ)

文字数 2,164文字

稀代にして奇態、現代を生きる伝説の漫画家・カレー沢薫がtreeに帰還!


前作「ひきこもり処世術」で大ひきこもり時代を総括したひきこもり・ジェダイ・マスターが次に取り上げるのは……「お金」!


お金にまつわる四方山話を集め資産2兆円(脳内)を目指すカレー沢薫の新たなる旅が始まるーー。

貯金を増やしたければ、収入を増やして支出を減らせば良い。


だがそれは「モテたければ菅田将暉か橋本環奈になればいいじゃない」という、ルッキズムがキツいマリーアントワネットの寝言でしかなく、それができたら苦労はしない。


よって、とりあえずはできる方だけをするしかないのだ。


世の中には、ジャブジャブ支出するがその分ガンガン稼ぐという、豊玉高校みたいなラン&ガン戦法で生きている者もいるらしいが、この方法は稼げなくなったら一気に破綻するのであまりおすすめはできない。


逆に、収入はそのままで支出を減らす方は比較的リスクなく行うことができるので、やるならまずこちらからだろう。


節約と言っても、いきなり「明日から弁当を作って水筒を持っていき、トイレットペーパーの使用量を半分にする」などの痙攣発作的節約では長続きしないし、尻の残クソ量が増えるだけだ。


村の全容を見ずに「これ邪魔だな」と目についた森林や壁を破壊していては、災害時に土砂崩れで死ぬし巨人にも食われるだろう。


よって節約を始めるにはまず、収入と支出の全貌を把握する必要がある。

つまり「家計簿」をつけなければならない。


ここで多くの者が脱落、やる気をなくして昼食に1500円のランチプレート食って、これみよがしにスタバのチルドカップをデスクに置き、トイレットペーパーを「ケツセレブ」に変更、ウン筋の代わりに血筋がつくレベルで尻を拭いてしまうだろう。


レシートを見ながら毎日の支出を転記、などというマメなことができる人間はそもそも節約ができている気がする。それが出来ない奴は家計簿をつけようと決意するたびに新しい家計簿を購入しむしろ無駄金を使うのだ。


だがそれも昔の話だ。


私が漫画家になれたのは「見る目がない編集者の目にとまった」という豪運につきるが、「パソコンで漫画が描ける時代になったから」というのも大きい。

それがなかったら、漫画家になるどころか「インクを一度もひっくり返さず使い切る」というチュートリアルミッションに、今も取り組んでいたことだろう。


人間は全く進化しないが、ツールの方は目覚ましい進化を遂げているため、ツールを使うことにより、できなかったことができるようになるケースは多々ある。


家計簿に挫折するたびに、ロフトでファンシーな家計簿を買い続けてきた何の進化もないカブトガニ野郎でも、最近はツールを使うことで家計簿が付けられるようになっているのだ。


私もそのうちの一匹であり、家計簿アプリを利用することにより、毎月の収入と支出の詳細は大体把握できている。


ただ私はそれを見ても「うひゃー今月もウマ娘に使ってんなー!」と、ソシャカスの悟空みたいなリアクションを取るだけで特に何もできていないのだが、少し意識が高いカブトガニならそこから改善策を考えるのではないかと思う。


実際家計簿アプリを入れてみると、もやは登録したことさえ覚えていないサブスクに毎回献金をしていたなど、「完全なる無駄」が発見できたりする。

こういう完全なる無駄は、切ったところで生活に全く影響が出ないのでストレスなく支出を減らすことができる。


家計簿アプリの仕組みだが、アプリに銀行口座、カード、電子マネーなど使用している支払いツールを登録しておくと、それらに動きがあった際自動的に転記してくれるという仕組みだ。

アプリが対応していれば、アマゾンや楽天などのポイント残高も表示してくれる。


自分がどの銀行口座を持ち、何枚カードがあるかもわからんという場合は既に多重債務者の発想になっているのだが、債務整理をするにもどこにどのぐらい借金があるか把握できなければ整理もできないので、どのみち家計簿は必要なのである。


ちなみに私はマネーフォワードという家計簿アプリを使っている。無料でも使うことができるが、有料の方が使える機能が多いので課金をしている。


マネーフォワードといえば、少し前に悲しい事件があった。


リニューアルといって、マネーフォワードの仕様がガラリと変わったのだが、それが使いづらいだけではなく、機能が大幅に改悪されており、有料会員でいる意味がないと大不評だったのである。


次の日、マネーフォワードは何事もなく前の仕様に戻っていた。


ユーザーの声を受けて元に戻したということだったが、あまりにも戻るのが早い。

改悪の自覚があり、ユーザーからの反発は想定済みで、いつでも戻せる状態にしておき、反発がそれほどなかったらそのままいく予定だったのではないかとすら思う。


ユーザーの声をすぐ反映するのは良いが、あまりにもそういうことをすると逆にアプリへの不信感が募る。

時にはユーザーが何を言っても聞き入れない、Twitterさんの姿勢も見習うべきだろう。

カレー沢薫

山口県在住の漫画家・コラムニスト。最新作に『ひとりでしにたい』原作(講談社)など。

Twitterはこちら:@rosai29

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